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「悪貨は良貨を駆逐する」(あくかはりょうかをくちくする)は、経済学のグレシャムの法則を分かりやすく表現したものです。この法則は、品質の悪い貨幣(悪貨)が市場に出回ると、品質の良い貨幣(良貨)が流通しなくなり、貯蔵されたり国外へ流出したりするという現象を指します。
現代では、貨幣の価値が貴金属の含有量に依存することは少なくなりましたが、この法則はより広範な意味で使われることがあります。たとえば、「情報」や「製品の質」や「サービス」や「人材」ですね。
言った人
トーマス・グレシャム(Sir Thomas Gresham, 1519年頃 – 1579年11月21日)は、16世紀のイギリスの財政家、貿易商です。エドワード6世、メアリー1世、そして特にエリザベス1世の時代に、王室の財務官として活躍しました。
トーマス・グレシャムは、当時のイギリスの経済と財政に大きな影響を与えた人物であり、その名は「グレシャムの法則」として現代にまで語り継がれています。
グレシャムの法則の提唱
「悪貨は良貨を駆逐する」という法則を提唱したことで知られています。これは、彼が当時のイギリスの貨幣流通を観察し、品位の低い貨幣(悪貨)が流通し、品位の高い貨幣(良貨)が貯蔵されたり国外に流出したりする現象を指摘したことに由来します。
ロンドンに為替取引所(後に王立取引所と改称)の設立を提唱し、資金面でも協力しました。これは、当時の国際貿易において重要な役割を果たしました。
王室の財政健全化への貢献
王室の海外負債管理など、財政健全化のために尽力しました。その商才と金融操作手腕により、多大な功績を残しました。
高等教育機関の設立
彼の遺志により、ロンドンに高等教育機関が設立され、後に「グレシャム大学」と名付けられました。
なぜ悪貨が良貨を駆逐するのか
かつて、貨幣が金や銀といった貴金属の含有量で価値が決まっていた時代を想像してみましょう。
- 品質の異なる貨幣の存在
- 例えば、同じ額面なのに、純粋な金や銀を多く含む「良貨」と、混ぜ物が多く貴金属の含有量が少ない「悪貨」が同時に流通している状況を考えます。
- 人々の選択
- 物を買う際、人々は「悪貨」を使いたがります。なぜなら、「良貨」は手元に残しておけば、将来的にその貴金属としての価値が認められる可能性があるからです。
- 逆に、「良貨」は貯蓄されたり、あるいは海外との取引でより価値が認められる場所へ流出したりします。
- 市場からの良貨の消滅
- 結果として、市場には「悪貨」ばかりが流通し、「良貨」はほとんど見られなくなってしまいます。
現代における「悪貨は良貨を駆逐する」
現代では、貨幣の価値が貴金属の含有量に依存することは少なくなりましたが、この法則はより広範な意味で使われることがあります。「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉は、単なる貨幣の現象に留まらず、さまざまな分野で「質の悪いものが質の良いものを押しのけて蔓延してしまう」という状態を説明する際に用いられています。
情報
質の低い、不正確な情報(悪貨)が大量に出回ると、質の高い正確な情報(良貨)が見過ごされ、人々に届きにくくなってしまいます。
製品・サービス
低品質だが安価な製品やサービス(悪貨)が市場を席巻し、高品質だが高価な製品やサービス(良貨)が競争に負けてしまう状況が発生します。
人材
不適切な評価制度や環境により、優秀な人材(良貨)が流出し、そうでない人材(悪貨)が組織に残ってしまう状況が容易に想像できます。
カリオストロの城から読み解く悪貨の本質
映画『ルパン三世 カリオストロの城』を観たことがありますか?1979年に公開された宮崎駿監督の長編アニメーション映画です。、あのトトロや千と千尋の神隠しといったジブリ作品で有名な宮崎駿監督がジブリを立ち上げる前に初監督作品として手掛けたアニメ映画です。
ルパン三世が活躍する舞台は、ヨーロッパの山奥にひっそりとたたずむカリオストロ公国。この国は、巧妙な偽札作りの拠点としても知られています。
映画『ルパン三世 カリオストロの城』に登場する「カリオストロ公国」が製造する偽札「ゴート札」は、ブルボン王朝の崩壊やナポレオン軍の軍資金として使われたと劇中で語られています。また、1927年の世界恐慌の引き金になったとも言及されています。
具体的には、劇中ではルパンが
「ゴート札は、ブルボン王朝を滅ぼし、
ナポレオン軍の軍資金となり、
1927年の世界恐慌の引き金になった」
と語っています。このセリフを語るシーンではかなり短い秒数ですが以下のカットが差し込まれます。ナポレオンの風刺画ですね。
ナポレオンが地球を串刺しにしている様子は、破竹の勢いを表現しています。ただ、その地球には導火線らしきものがついていて煙を吹いていることからナポレオンの勢いにはタイムリミットがあったことを示唆しています。ナポレオンは大量の硬貨がつめこまれた袋を担いでいますが、袋の一部が破れてあふれ出してますね。これは当時のナポレオン財政は破産寸前だったことを表現しています。
なぜなぽ連財政が破綻寸前だったのか・・・それは、あくまでフィクションですが、「カリオストロ公国」が偽札によって資金援助をしていたという設定になっているためです。
「悪貨は良貨を駆逐する」たナポレオンがその勢力を拡大しようとすればするほど、悪貨は市場に流通し、良貨を駆逐し続けます。
当時は「貨幣」がまだ物としての価値を認められていた時代でした。(現代社会における貨幣の価値は、物としての実質的な価値ではなく、人々の信頼と国家の信用によって支えられています。)
貨幣にモノとしての実質的な価値が認められていた時代であれば、人々は「悪貨」をなるべく使いたがります。なぜなら、「良貨」は手元に残しておけば、将来的にその貴金属としての価値が認められる可能性があるからです。逆に、「良貨」は貯蓄されたり、あるいは海外との取引でより価値が認められる場所へ流出してしまいます。
結果的に、良貨は国内の市場に出回らなくなり、国力の低下はどんどん加速していってしまいます。勢力を拡大するために悪貨をかき集める・・・すると良貨が国内市場に出回らなくなり、結果的に国の財政破綻のタイムリミットを縮めてしまうことになる・・・。何とも皮肉ですよね。
ルパンが、偽札だとわかった瞬間にばらまいて捨ててしまうのはこういった背景があってのことかもしれませんね。
このように『ルパン三世 カリオストロの城』に登場する「カリオストロ公国」が製造する偽札「ゴート札」は、中世以降の世界情勢の裏に常に影を落としてきた「幻」の偽札として描かれています。
偽札は究極の悪貨です。「悪貨は良貨を駆逐する」という一言を心にとめながら『ルパン三世 カリオストロの城』を観てみると、また違った楽しみ方ができるかもしれませんね。(銭形の旦那が主人公にみえてくるかも・・・?)
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