『鬼作業』と『ワークライフバランス』はどちらも同じくらい大事です。
重要なのはどちらが大事かという『評価』ではなく、どちらから着手するかという『順番』です。
最近、ブログ界のインフルエンサーであるマナブさんの『億を稼ぐ積み上げ力』を読みました。
この本には趣味や恋愛や健康を犠牲にしてまでも『鬼作業』に取り組む期間が必要であることが書かれています。
その反面、重要ではないことを『捨てたり断ったりする』ことで人生を最適化して自分なりの幸せを掴むことの重要性も書かれています。
仕事の量を調整してワークライフバランスを適切に保つと言った方が分かりやすいかもしれません。
この本を読んで、『鬼作業の期間』も『捨てることや断ること』も、どちらも重要なであることがわかりました。
最近『エッセンシャル思考』や『シングルタスク』といったような『捨てる』ことや『断る』ことを重視して人生をシンプルに生きる価値観が重要視されています。
私は、おおむねこの価値観に賛成です。その反面、誰もが『捨てる』ことや『断る』ことを最優先するのはどうかとも思います。
私は【億を稼ぐ積み上げ力】を読むことで、重要なのはどちらが正しいかという『判断』ではなく、どちらから着手するかという『順番』なんだということをハッキリと理解できました。
ワークライフバランスの前に鬼作業期間が必要
別の記事で【エッセンシャル思考】という本を大絶賛しました。
エッセンシャル思考のことをごく簡単に要約すると、生産性に関係あることだけに一転集中して、それ以外の無駄なことは『捨てる』か『断る』かして排除しましょうという考え方です。
人生を豊かにするには、今の生活になにかを足すのではなく、余分なものを引きましょうというコンセプトですね。
まずは鬼作業が必要な理由
人は理屈で動く生き物だと認識されがちだけど本当はちがいます。
ひとは、感情で動く生き物です。
正しいかどうかよりも、誰が何を言ったかのほうが優先されます。
その【誰】の部分で重要になるのが【ポジション】です。
分かりやすく言うと役職ですね。
それ以上に重要なのが実績です。
その【ポジション】を得るためにはランチェスター戦略でいうところのグーとパーの期間が絶対に必要になります。
マナブさんはこれを【鬼作業の期間】と呼んでいます。
今までの自分の殻を打ち破って、より高いレベルに行きたいのであれば絶対に無茶をする期間が必要です。
目的はエッセンシャル思考を使ったときに納得してもらえるポジションおよび実績を手に入れることであって、いつまでも無茶し続けることではありません。
ここが重要です。
ワークライフハックバランスを見返す適切なタイミング
エッセンシャル思考のような『捨てる』『断る』といった手法、はランチェスター戦略でいうところのチョキの段階で非常に有効なスキルだと思います。
ランチェスター戦略は、良くじゃんけんのグーチョキパーで例えられます。
ただし順番は『グー』→『パー』→『チョキ』です。
ランチェスター戦略のことを簡単に説明しておきます。
とにかくリソースを投入する
趣味の時間や恋愛や健康のどれかを犠牲にする覚悟が必要
引き続き鬼作業の時期
趣味の時間や恋愛や健康のどれかを犠牲にする覚悟が必要
結果に直結しない活動を整理する
追いかけてくる存在の良いアイデアをいち早く真似する
何かを成し遂げるには、まずはランチェスター戦略でいうところのグーとパーの時期が必要です。
グーもパーも成し遂げないで自分のポジションが確立できていないのにエッセンシャル思考を繰り広げていると、単純にやる気のないやつとか頭でっかちで使えないやつとみなされてしまう可能性が高いです。
自分のキャリアを振り返ってみる
自分の場合はランチェスター戦略や実績やポジションやエッセンシャル思考のことを全く知らなかったけど、今になって自分のキャリアを振り返ると、運よく【鬼作業→実績ゲット→信頼ゲット→エッセンシャル思考実施】という道筋をたどってきたということに気づきました。
このことから、エッセンシャル思考を実施する前に、鬼作業の期間が必要であることを、自分の経験から説明できる自信があります。
例えば自分のケースであれば、建築の専門学校を卒業して新卒入社した企業を一年でドロップアウトしてバイクで日本一周しています。
そのあとしばらく地元の弱小企業で薄給勤めをしていたけど、一念発起して年収を倍にすることを決意しました。
決意しただけでは、自分には実績もポジションもないため発言に説得力がありません。
だからまずTOEICで600点を取ることを目標に英語の勉強を始めました。
ちなみに英語は科目の中で一番苦手だったけどあえて選びました。英語が嫌いすぎて学生の頃は英語の授業中はほとんど居眠りをしていました。
英語を学習することを選んだのは、ネットで英語ができれば年収が上がるという情報を目にして、鵜呑みにしたからです。単純です。もしも今から何かを学習するなら英語よりもプログラミングをオススメします。
英語の勉強を始めた当時はBe動詞もろくに理解していない悲惨な状況でした。何とか勉強を継続して、結局TOEICで680点を取ることができました。
そのころには曲がりなりにも弱小企業に6年務めていたので、6年企業に勤めたという実績とTOEICで680点取ったという実績をゲットすることができました。細かいことを言えばマイクロソフトのワード、エクセル、パワポの3つの資格を取ったりもしていました。
いわゆるノウハウコレクターってやつですが、なにもしていないよりよっぽどマシです。TOEICで600点取ったり、いろんな資格を取ることのメリットは、自分には一つのことに一定期間、集中して学習することができる能力があるということをアピールできる点です。
この実績をもとに現在の外資系企業に就職すことができました。日本一周してから中小企業に6年勤めただけでは、ただの変なヤツです。
しかし、TOEICで680点持っててWord、Excel、PowerPointが使えることを示す資格を持っていことによって変だけど『向上心』がある、と認識してもらえたのだと思います。
ただ、この段階では転職に成功することができただけなので、転職先での実績やポジションはゲットできていない状況です。
そこからがまた大変だったけれども、今では何とか鬼作業の期間を抜けることができました。
転職してからも、英語の勉強を継続しました。統計の勉強にも手を付けました。
毎日始業から終業までほぼ立ちっぱなしの作業をこなしつつ、それでも朝や休日に時間を見つけて勉強に励みました。
ちなみに現場のオペレーターとして採用されたので、英語の能力や統計の知識はオペレーターとして求められていなかったです。
なんで英語と統計の勉強の対象に選んだのかというと、部署でまともに使える人がいないことが分かったからです。外資系企業の製造業の製造部なのに、誰も英語も統計も使えないことは入社してすぐにわかりました。
ランチェスター戦力でいうところの『勝てる場所で戦う』です。
もしも、自分が英語と統計を使える人材であることが示すことができれば、現場の一作業員から管理職まで最短距離で進むことができるだろうと仮説を立てて勉強に打ち込みました。
そんなこんなで、現場での班長を経験してからあっという間に社内データアナリストのポストに任命されました。
しかし、ここがゴールではく、なまだまだ鬼作業は続きました。
Excelの初歩的な資格は取ったけれども実務で使うことがほぼ初めてだったので、20列以上かつ1万行以上あるデーターに翻弄されて夢でもうなされながらもなんとかデータ処理を身に着けました。
データアナリストとして働くということはデスクワーカーになるということです。自分のキャリアでデスクワーカーとして働くことがほぼ初体験だったので。環境に合わせるためにいろいろと苦労しました。
英語を実務で使う機会も増えてきて、ひどい発音のアジア系の英語にさらされてノイローゼ気味になったりしました。
時には完全に無気力状態にまでなって、精神科に通っていた時期もあります。
どうやら僕は過度なストレスにさらされると過食気味になるらしく、妻と幼い娘が寝静まったあとに、アマゾンプライムでアニメを視聴しながらポテチを缶チューハイで流し込むという悪い癖にしばらく悩まされたこともありました。
一番ひどい時で、不眠症、慢性的疲労感、無気力、自律神経失調、過食症、アルコール依存気味、といったかなりやばい状況にまでなっていました。体重もマックスで13㎏増えてしまいました。
今思えば軽いうつだったんだと思います。
いまでは完全に完治して体重も元に戻りました。
ちなみに夢でうなされたり、休みなのに仕事のことが頭から離れなかったり、ストレス解消のために酒やジャンクフードに逃げてしまうようなことは今では全くありません。
最終的には、デスクワーカーというポジションにも慣れ、そこそこ大きいプロジェクトもいくつか完了でき、データアナリストとして確固たる信頼を得ることができたと自負しています。
ここまで来て、はじめて【エッセンシャル思考】を実施するべきフェーズだといえるんじゃないだろうかというのが僕の主張です。
ここまで来れば
【鬼作業→実績ゲット→信頼ゲット→エッセンシャル思考実施】
でいうところの、信頼ゲットまで完了しています。
あとは『捨てる』べきものをしっかり捨てて、『断る』べきものをしっかり断り、自分の生活全般をできるだけシンプルにしていくことに集中することで生産性を最大化することができます。
つまりポジションを確保しつつワークライフバランスを最適化することに注力するフェーズであるということです。
『鬼作業』と『ワークライフバランス』はどっちが大事?
『鬼作業』と『ワークライフバランス』はどちらも同じくらい大事です。
重要なのはどちらが大事かという『評価』ではなく、どちらから着手するかという『順番』です。
【鬼作業→実績ゲット→信頼ゲット→エッセンシャル思考実施】
でいうところの、信頼ゲットまで完了しているというのはランチェスター戦略でいうところの、チョキの段階まで到達できているということです。
エッセンシャル思考をビジネスに取り入れようとする前に、まずは実績と信頼を勝ち取って自分のポジションを確立する必要があることを分かってもらえたと思います。
自分はバッターボックスに立たずに『エッセンシャル思考』のような『捨てる』『断る』といったテクニックを知識として知っているがゆえに、ヒットを打とうと挑戦し続ける人を快適な観客席から批判してもそこからはなにも生まれません。
エッセンシャル思考もシングルタスクも、それらのあらゆるライフハック術は、バッターボックスに立つ人がより良い成績を出すための技術です。
いつでもどんな時代でも、一つの価値観に没頭してしまうのは危険です。
なぜなら、時代の変化でその時々に正しいとされる価値観が変化していくからです。
絶対的な正解はどこにもなく、その時々の最適解があるだけです。
今、僕は自分のポジションに満足していて、エッセンシャル思考(捨てる、断る)をおおいに活用できているけれど、また状況が変われば鬼作業が必要になることもあるだろうと自覚しています。
そんな時は、自分がどうありたいかという、自分の理念をまずしっかりと軸に持ったうえで、どのようにふるまうのかを考えていきたいです。
アクションプラン:とにかく3か月やってみる
【億を稼ぐ積み上げ力】では『ちいさく、そしてはやく』始めることをが推奨されています。
そして期間は3か月を目安にすると良いと言っています。
作者のマナブさんは、いろいろな人から
「プログラミングを勉強したほうがいいですか?」
とか
「ITベンチャーに転職したほうがいいですか?」
などのような質問をされるそうです。
そんな時はいつも
「まずはやってみてください」
と答えるそうです。
アタマで考えるだけと、実際にやってみることは大違いです。
泳ぎ方を覚えたい場合は、完璧なクロールのやり方を座学で長時間学ぶよりも、実際にプールに入って泳いだほうがいいに決まっています。最終的に泳げるようになるのはどっちかは誰にだってわかります。
期間については、まず3か月程度継続することが大切だと書かれています。
向いていないと判断するのに3か月未満は短すぎですし、よく言われる石の上にも3年は移り変わりの早い現代ではロングスパンすぎます。
1.まずやってみる
2.3か月は続けてみる
3.『楽しい』場合は継続。そうでない場合は立ち止まって考える。
マナブさんは本書で継続することの大切さを何回も説明していますが、それと同じくらい自分に向いているかどうか(楽しいと思えるか)を強調しています。
何かに挑戦して一定期間取り組んでみて、自分に向いていないということが分かれば、それはそれで一つの成果です。
現代はどんなことにも挑戦できます。無数の選択肢の中から、これは挑戦したけど向いていなかったというひとまずの結論を出すことができます。行動しないままアタマで考え続けていても『自分に向いているかもしれない』という可能性に苦しめられることになります。
もちろん、向いていればそのまま継続することでスキルやノウハウが蓄積されていきます。
アクションプランのまとめとしては
『やりたいと思うことはとりあえず3か月やってみて、続けるかどうかはその時に考える』です。
まとめ
【億を稼ぐ積み上げ力】は『テクニック』の紹介にとどまらず、人生を振り返るきっかけになるような『本質』についても有益な情報が盛りだくさんな良書です。
今回の記事は、そんな有益な情報の中から、特に自分の心が一番動いた部分だけをピックアップして書きました。
この記事では書けていないことのほうが多いですが、本書はどの章を読んでも本当にタメになる内容ばかりです。
興味のある方はぜひとも手に取って読んでみてください。
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