この記事では『シリコンバレー式「超」ライフハック』のなかでも禁欲、特にポルノ視聴の弊害について焦点を絞り要約していきます。
最近、ライフハックのなかでも人体の構造や脳の仕組みに基づく「バイオハック」によって生産性を高め、人生の満足度を向上させる取り組みにハマってます。バイオハック系の書籍では、食事や睡眠や運動について言及されることが多いです。たとえば睡眠ではしっかり8時間寝ましょうとか、食事だと体に悪い糖やジャンクフードを避けて、グルテンフリーや低GI食品を賢く選びましょうとか言った内容です。
巷にあふれるライフハック/バイオハック系の情報は食欲と運動と睡眠に偏っていて、あえて性欲に関する言及を避けているように感じていました。たしかに性生活に関するトピックはセンシティブなので扱いにくい一面があるのかもしれません。とはいえ人間の3大欲求は「食欲、睡眠欲、性欲」です。
そんな中、ライフハック/バイオハックの決定版と名高い『シリコンバレー式「超」ライフハック』の存在を知りました。食事、睡眠、運動、瞑想、ビジネスなどなど、有益な情報が盛りだくさんの本書ですが、読み進めていくうちに「性欲」に関してもかなり深く掘り下げていて感動しました。
これはブログで書かなければ!と思い要約したのが今回の記事になります。
ポルノはドラッグと同じ!?
ポルノは常習性薬物と同じように、ドーパミン耐性を生じさせると考えられています。
ポルノ断ちを語るうえで神経伝達物質であるドーパミンは切っても切れない存在です。
ドーパミンは脳に即時の満足を与える神経伝達物質です。このドーパミンは放出後につかの間の快楽を与えてくれますが、長い目で見ると体に悪いものです。食品に例えると糖が多く入ったジュースやお菓子、加工食品や添加物たっぷりのジャンクフードが当てはまります。
ポルノを視聴することでドーパミンが過剰に出てしまいます。ドーパミンが過剰に分泌されることで感情をつかさどる大脳辺縁系(偏桃体と海馬のエリア)が過活動になります。すると、脳はドーパミンに引きずられた意思決定をしがちになります。
過剰なドーパミンは問題を引き起こします。いまやポルノはネットで見放題ですが、人間の脳は際限のない刺激に対処するようにはできていません。
ポルノを見すぎると、コカインやアルコールや糖に対するのと同じように脳が反応します。どんどん刺激に対する「耐性」ができて前回と同じ質や量では満足できなくなって行きます。やればやるだけ依存してしまいます。
ケンブリッジ大学の神経科学者が、ポルノ中毒を自覚している男性たちの脳をスキャンして調べたところ、ドラッグ中毒者の脳と同様の優位な変化を確認したという観測結果もあります。
つまり、ポルノを見れば見るほど、もっと強い刺激を求めてしまうということです。前回と同じ、もしくはもっと強い刺激を得るために、時間や労力をどんどん消費してしまうことになります。
ポルノ視聴からはじまる負のドミノ倒し
しかもポルノは探すだけで終わりません。男性の場合であればポルノ視聴のクライマックスは自慰行為による射精でしょう。
射精後、体内ではプロラクチンというホルモンが急増します。プロラクチンは性衝動を失わせて、ひと眠りしたくなるようにさせるホルモンです。オーガズム後にプロラクチンが分泌される量は女性よりも男性のほうが多いそうです。
プロラクチンはドーパミンと対をなす存在でもあります。ドーパミンが脳に即時的な快楽を与えるホルモンなのに対して、プロラクチンは「冷静さ」を与えてくれます。いわゆる射精後の「賢者モード」の正体はプロラクチンによる作用だったんですね。
しかも、男性はプロラクチン値が上昇するとテストステロン値が下降します。テストステロンとは男性ホルモンの一種です。男性ホルモンの実に95%はテストステロンなので、実質的に「男性ホルモン=テストステロン」とも言えます。テストステロン値が下降するということは「男らしさ」が希薄になることを意味します。
テストステロン値が回復するまでは何をするにもエネルギーに乏しく、没頭できず、生活への満足度が低下してしまいます。シリコンバレー式「超」ライフハックの著者デイブ・アスプリーさんはこの状態を二日酔い(ハングオーバー)ならぬ射精後遺症(オーガズムハングオーバー)と呼んでいます。
個人差がありますが、デイブさんの場合はこの射精後遺症(オーガズムハングオーバー)が解消されるまで2~3日かかることが分かったとのことです。
ポルノ視聴→射精→エネルギー下降の過程を以下のようにまとめることができます。
問題を解決することで大事なのは、可能な限り上流で問題が発生しないように対策を講じることです。
今回のケースだと、例えば③の射精後のテストステロン値が下がりにくいようにサプリを飲んでみたり筋トレに励んでみたりするのは工程の一番最後に当たる部分での対策なので良いアイデアとは言えません。
問題が発生する一番最初の起点は『ポルノを視聴する』ことです。ポルノを視聴しなければ自慰による射精も発生せず、プロラクチン値も上昇せずテストステロン値も下降しません。
やはり、取り組むべきは①の『ポルノ視聴』でしょう。最初からポルノを視聴しなければ①~⑤の負のドミノ倒しはそもそも発生しません。
ポルノ断ちは禁煙や禁酒と似ている
それではいざポルノ視聴の習慣と向かい合い、やめようと決意する場合の注意点をお伝えしたいです。
ポルノ断ちは禁煙や断酒と非常によく似た性質を持っています。段階的にやめようとすると失敗する確率が高いので、やめるならスパッとやめましょう。
記録を取ることもお勧めします。かなりアナログで古典的な方法ですが、紙のカレンダーにポルノ視聴をしなかった日は〇なり✖なりのマークを書き込んでいく方法がオススメです。
これから先、一生カレンダーにマークを書いていかなきゃいけないのか??と思うかもしれませんが、そんなことはありません。新しい習慣が身に着くまでには平均66日かかるという研究結果があります。これは、裏を返すと、いつもやっていることを66日間我慢すれば、やらないことが当たり前になるということです。
習慣かにかかる期間が平均66日だということについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
飲酒、喫煙、ポルノ視聴などは特にドーパミンの分泌量が多いため習慣から取り除くのは時間がかかりますが、それでも意識して生活から取り除けばあるタイミングで『やらないほうがフツー』の状態になります。
無限に我慢しようと考えるからツラくなってしまいます。そう考えると習慣から取り除く(やらないという習慣が身につく)までの期間が66日というのは案外短いと思いませんか?たった2カ月我慢するだけで、その先の人生、もっと有意義なことに自分の時間やエネルギーを使えるんです。
2カ月我慢しないで残りの人生もドーパミンに振り回されるか、2カ月我慢して快楽酔いの脳を正常化して本当の自分を取り戻すか。決めることができるのは自分だけです。
禁酒・禁煙・ポルノ断ちなどについて楽しく学ぶにはこちらの書籍がオススメです。自分ではなく家族や大切な人に勧めるのにもつかます。
パートナーとの行為と自慰の違い
脳はパートナーとの行為で体験するオーガズムと独りで得るオーガズムには異なる反応を示すこともわかっているようです。
ポルノ視聴では前述のとおり快楽物質であるドーパミンを多く放出されるのに対して、パートナーとの行為ではオキシトシンというホルモンが多く放出されます。
オキシトシンとは別名「幸せホルモン」や「愛情ホルモン」とも言われています。
オキシトシンが分泌されたとき、その驚くべき効果は、
・幸福感を得られる
・他者への信頼感増加
・学習意欲や記憶力の向上
・ストレスや不安や恐怖心の軽減
・絆を深めたいという想いが高まる
など、多岐に渡ります。色々と説がありますが効果は数時間持続するようです。
対してドーパミンは持続時間が数百ミリ秒しかないようです。あんまり聞きなれない単位ですが、つまりドーパミンの持続時間はほぼゼロに等しく、一瞬しか効果が得られないということです。
ドーパミンとオキシトシンの違いについてごちゃごちゃ書いてきましたが、要はパートナーとの行為は人生にとってプラスの効果があり、ポルノ視聴は人生にとってマイナスの効果が大きいということです。
まとめ
私は別にポルノを視聴することが絶対に悪いことだとは思いません。人によってはポルノを視聴することが生きがいであったり、年間〇〇本のポルノを視聴することを目標としている価値観の人もいるかもしれません。
ただ、一つだけ言えることは、一般的な価値観ではポルノ視聴に人生を費やすよりも、もっと生産的なことをしたほうがいいだろうということです。
一食抜いても世界は終わらないように、オーガズムが感じられなくても世界は終わりません。
成功のカギは「性的エネルギー」を「生産的エネルギー」に転換することです。
ポルノを絶つことで脳を正常化することができ自分本来のパフォーマンスを取り戻すことができます。
あたらしいツールややり方をあれこれ試してみる前に、自分の習慣のなかでやめるべきことをリストアップしてみるのも一つの手かもしれません。
今回参考にした書籍はこちらです。ポルノ断ちに関する記述はこちらの書籍のほんの一部で、食事、睡眠、運動、瞑想、マインドセットなどなど、ありとあらゆるライフハックに関する情報が満載のめちゃくちゃコスパが良い一冊です。オススメです!
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