毎日忙しすぎる・・・。
やることが多すぎて何から手を付けていいかわからない・・・。
何のために生きているのかわからない・・・。
そんな風に思うことはありませんか?
そんな時にあなたの悩みを解決してくれるのは、上司でも、同僚でも、友達でも、家族でもなく、新しい価値観です。
今回、わざわざブログの記事にしようと持ったのは、他でもなく、この【エッセンシャル思考】がとても良い本だと思い、いろんな人にぜひ知ってもらいたいという思いからです。
エッセンシャル思考とはあなたの人生を変えるための新しいマインドセットであり99%の無駄を『捨てる』か『断る』ための技術です。
生産性向上の『本質』と『テクニック』が1冊で学べる良書!
私は、この【エッセンシャル思考】作者の目的が
『本質』だけに集中するという『理念(主義)』を自分の人生の中心に据えよう
という考え方を一人でも多くの人に伝えることだと受け取りました。
私は、本書のような、日々の生産性を向上させて人生を充実させるためのヒントになる本をよく読んでいます。ライフハック本と呼ばれたりしています。
正直、巷には色々なライフハック系の本があふれていますが、とりあえずは【エッセンシャル思考】を読んでおけばOK!と自信をもって言えます。
この本では、たしかに日々の生産性を向上させるための『テクニック』が多数紹介されています。
巷にあふれるライフハック本の良くあるパターンとしては、この『テクニック』の紹介しかされていないことが多いです。
『ライフハックテクニックのオムニバス』とでも言いましょうか。
よくあるライフハック本ですと、読んでいる最中はモチベーションが上がりますが、なぜそのテクニックを自分の成果に取り入れる必要があるのか?という部分まで掘り下げて考えさせるような構造になっていない為です。
よっぽど積極的に取り入れない限りはそのまま忘れてしまいます。
しかも、自分の考え方そのものを見直さずに、新しいテクニックを自分の人生に『追加』するだけなので、根本的な問題は解決できません。
一番最初に書いたように真の目的は別のところにあります。
【エッセンシャル思考】を読むことで、なぜ生産性を向上させることが人生において必要不可欠なのかという『本質』の部分を理解したうえで、生産性を向上させるためには何をしたらよいのかとう『テクニック』の部分も学ぶことができます。
しかもこの『本質』の部分も身近でわかりやすく、『テクニック』の部分も一般的な生活に取り入れることができる事例が多いです。
まさに『使える良書』と言えます。
本書には以下のように書かれています。
働きすぎるのはあまりにも簡単だという事実。活動的で向上心にあふれる人にとって自分を酷使するのは苦痛でもなんでも無い。本当に難しいのは、働きすぎないように制御すること。
本書より引用
この文章がを読んだときに、本当に衝撃を受けました。ここまで問題に対して本質的な部分に迫っている本が良書でないわけがありません。
難点があるとすれば、そこそこボリュームがあって、さらに書いてある内容が割と重複してる部分があることでしょうか。
通して読んでいくと
「ん?これと同じようなことがさっきも書いてあったような・・・。」
と思うことが割とあります。
ただ、それだけ情報量が多いということでもあります。
一度、通しで読んでからは、手元とに置いておいて目次をさっと眺めてその時に読みたいと思う項目だけを読むという使い方を考えると、特に悪い点でもないかなと思えます。
著者の体験談から『本質』を読み解く
あなたの人生にはエッセンシャル思考がなぜ必要なのか?
本書では、一般論ではなく、いきなり作者の体験談から始まります。
著者は娘が生まれた時に同僚から電話がかかってきたために、病院から顧客の待つ会議の場に向かってしまいました。
『いったいなにをしているんだ?』『いまはもっと大切なことに集中すべき時なのに』自分が明らかに間違っていることを認識しながらも、商談に向かうことを止めることがでませんでした。
自分も、顧客もお互いに戸惑いを隠せずに結局、何一つ得るもののない会議だったそうです。
『なぜ、こんなことになってしまったのか』
著者は相手の機嫌を損ねないためだけに「イエス」と言い、それによって家族と自分を傷つけ、顧客の信頼さえ失おうとしていました。
著者はこの経験をきっかけに、本当に必要なことは何か?もっと人生のエッセンシャル(本質)を大事にした生き方をしたい!と決意したことがこの本を書くことになったきっかけのようです。
このエピソードを知り
「そうだよな。人生のエッセンシャル(本質)を大事にすることは大切だ」
と思った方は、是非ともこのまま記事を読んでいただきたいです。時間の無駄にはならないはずです。
もしくは
「この作者のエピソードには全く共感できない」
と思った方は、それこそこの記事をそのまま読み進めていただきたいです。
つまり、全員に読んでいただきたい記事になっています。笑
エッセンシャル思考は図で理解する
なぜ著者は娘が生まれた瞬間に立ち会っていたのにもかかわらず、同僚からの電話に従い商談に行ってしまったのでしょうか。
そして、その時、どのような理念が彼の人生の中心にあれば、商談に行かずに家族のもとに残ることを選択することができたのでしょうか。
全てのカギは『エッセンシャル思考』です。
エッセンシャル思考に関するいくつかの図を理解することで、読み解くことができます。
全方向に1ミリずつ進むかひとつのことに全力を注ぐか
本書を読み進めていくと、まずはこの図の説明が始まります。
非エッセンシャル思考の人、つまり娘が生まれた時の著者は上の図の左の状態でした。
何でもかんでも同時にできると信じて取り組むのですが、エネルギーと集中があちこちに分散されているので、結局は何も成し遂げることができません。
この状態のことを本書では『全方向に1ミリずつ進む』と紹介しています。
対してエッセンシャル思考の人は、上の図の右の状態を指します。
エッセンシャル思考の人は『いま、この瞬間に、一番重要なこと』だけしかやりません。
図を見てもわかるように、円(自分)から発せられる矢印は一本だけです。
エネルギーと集中をたった一つのことに注ぎ込むことで、圧倒的な成果を実現します。
『顧客との商談に行く』ことと、『娘が誕生したことを家族と祝福する』ことのどちらが、『いま、この瞬間に、一番重要なことでしょうか』間違いなく後者ですね。
エッセンシャル思考の人は、常に右の図を頭の中に描いています。
ちなみに、左の図をマルチタスクを試みる人。右の図をシングルタスクを試みる人。と解釈することができます。
マルチタスクとシングルタスクの違いについては、『シングルタスク』という本を解説した別の記事があるので興味のある方はこちらもどうぞ。
こちらの本と合わせて読むことで
エッセンシャル思考=シングルタスク=プロフェッショナル
非エッセンシャル思考=マルチタスク=モンキーマインド
という構図を理解すことができます。
モンキーマインドってなかなか強烈なワードですよね。
できる時だけエッセンシャル思考になるか、人生の軸にエッセンシャル思考を据えるか
お次はこの図です。
エッセンシャル思考は『本質を生きる』ための考え方です。
左の図の非エッセンシャル思考の人はエッセンシャル思考をオプションとして取り入れます。できるときにやる。というスタンスです。
エッセンシャル思考の人は、エッセンシャル思考を自分の中心に据えます。
日々の忙しさに流されて、ついエッセンシャル思考を忘れてしまうことがあります。
本書では、そんな時に、思い出してもらいたい言葉があるといっています。
それ以外のことは全部捨てて良い。とさえ書かれています。
と言うよりも、それ以外のことはやろうとしても本当は『できない』のかもしれません。これは私の解釈です。
カオスからシンプルへ
全方向に1ミリずつ進むことを止めてひとつのことだけにエネルギーと集中を注ぎ、エッセンシャル思考を自分の軸に据えると人生がシンプルになります。
あれもこれも同時にやらなければいけない。というマルチタスク神話にとらわれることがなくなり、過去でも未来でもない、今、この瞬間に集中できるようになります。
人生が『カオス』から『シンプル』に。
つまりは『混乱』から『明確』に変わります。
人生をシンプルにすること。これこそがエッセンシャル思考の究極の目的ではないかとも思えます。
本書の終盤に以下のような内容が収録されています。
シンプルであればほとんどの問題は解決する。エッセンシャル思考とは、ものごとの本質をとらえて、シンプルに考えること。個人の悩みも、世界の抱える問題もそう。シンプルな生き方をしていれば、あまりうそをつかずにすみます。口論も盗みも、ケンカや嫉妬や怒りや殺人さえ減るはずです。憎しみが減り心の美しさはその人をさらに美しくします。それがシンプルであることの良いことなのです。
本書より引用
よだんですが『悩みのるつぼ』で10年近く投稿者からの悩みに回答していた岡田斗司夫さんによると
「いくつもの問題が複雑に絡み合うと『悩み』になってしまう。悩身を解決するには内容を丁寧に分解して、一つ一つの問題として把握することが必要。悩みをいくつかの問題に分解できれば、あとは優先順位を確認してひとつひとつ解決していけば良い。」と言っています。
こちらの本も人生の悩みを解決するための考え方の『本質』と『テクニック』の両方をしっかりと説明している内容になっているので非常にオススメです。
重要キーワード2選
エッセンシャル思考を習得する上で、絶対に覚えていただきたい需要なふたつのキーワードがあります。
それは
『より少なく、より良く』
『すべてはトレードオフ』
の二つです。
順番に説明していきます。
重要キーワード1:より少なく、より良く
非エッセン者思考の人は何でもかんでも最優先事項だと思い込み、自分が持っている10のリソースをまんべんなく全てのタスクに分散しようとします。
エッセンシャル思考の人は、まず、『今、何をすべきか』をじっくりと考えます。
そして、すべてのタスクに一度に手を付けるのではなく、一番重要なことだけに一点集中します。一番需要なタスクが終わったら、その次に重要なタスクに取り組む・・・というサイクルを繰り返していきます。
これが
より少なく、より良く
です。
80:20の法則ってご存知でしょうか?
全体の80%の結果は、全体を構成するうちの20%の要素が生み出しているという法則です。別名パレートの法則とも言います。
例えば、とある会社の営業チームが10人のメンバーで構成させれているとします。その月のチーム全体での売り上げが1,000万円あったとして、キッチリひとりあたり100万円ずつ売り上げを上げているケースが一般的でしょうか。
ほとんどのケースはそんなことがなく、優秀なひとは多くの売り上げを上げて、ぱっとしない人は少ない売り上げのはずです。
これを80:20の法則に当てはめると、全体の売り上げ1,000万円のうち、800万円は10人中2人のメンバーがもたらしているということになります。
自分が経営者や部門の管理を担当する営業職だったら、この10人の営業メンバーをどのように扱うでしょうか。
優秀な2人のメンバーはこのチームのメインエンジンのようなものです、この2人を手放すわけにはいきません。インセンティブで優遇したり、個人の評価も高くつけるでしょう。部署として与えることのできるリソース(評価)をあらゆる形で提供することを考えるのではないでしょうか。
80:20の法則については別の記事で詳しく解説してますのでこちらもあわせてどうぞ
エッセンシャル思考の『より少なく、より良く』という考え方は、この優秀な2人にだけ集中するべし!という考え方を自分自身に当てはめたものです。
重要キーワード2:すべてはトレードオフ(等価交換)
トレードオフとはすなわち、等価交換のことを意味します。
何かを得るには何かを捨てなければいけません。
非エッセンシャル思考の人はトレードオフのことを考えません。一度に複数のことに集中することができるという『マルチタスク神話』を疑いません。
エッセンシャル思考の人は常にトレードオフのことを考えます。人間は一度に一つのことにしか集中できないことをよく理解しています。
テクノロジーの発達によって、私たち人類は24時間いつでもどこでも『接続』可能になりました。というよりも『なってしまった』と表現するほうが正しいかもしれません。
オフの時間でもスマホに会社から電話がかかってきたら取って当然。いつでもどこでもお構いなしにメールやチャットツールの通知が届く。加えて、SNSやゲームアプリの情報は常に最新情報が更新されていきます。
それらのツールを全て使いこなして、やることリストに連なるいくつもの『タスク』をこなそうとしても不可能です。
マルチタスクは、同僚からの質問、上司からの依頼、電話、メールなどのアプリケーションからの通知、それらすべての外部からの『刺激』に対して反射的に『反応』しているだけです。
いつ、どのタイミングで外部からの刺激が発生するかわからない為、反応すればするだけ集中がとぎれてしまい、新しいことに集中しなおすためにエネルギーを消耗します。これでは、何にも集中できていないのと同じです。
エッセンシャル思考の人は、常にトレードオフを考えています。
外部からのあらゆる『刺激』にいちいち反応しません。それらに反応してしまうと、自分が決めたこれこそ『いま、この瞬間にやるべきこと』に対する集中が途切れてしまうということをしっかり理解しているからです。
何でもかんでも上手に使いこなさなければいけないという『固定観念』に縛られることなく、いま、やるべきたった一つのことに集中します。
完璧な答えなんて存在しません。あるのはトレーオフだけです。
『なにをあきらめなくてはならないか?』ではなく『なにに全力を注ごうか?』と考えましょう。
非エッセンシャル思考の人は『どうすれば両方できるか?』と考えます。
エッセンシャル思考の人は『どの問題を引き受けるか?』と考えます。
エッセンシャル思考を実践!『捨てる』か『断る』
【エッセンシャル思考】では、本質的な部分とはほかにいくつもの細かいテクニックが紹介されています。
たとえば、『いちばん面倒なタスクは朝イチに着手する』とかです。
たしかに、おぉ!と思うようなテクニックがいくつもあるのですが、長くなるのでひとつひとつは紹介しません。気になる人は本書を手に取って読んでみてください。
色々と細かいテクニックが書かれているのですが、著者が一貫して伝えたいことは、とにかく『捨てる・断る』ことが重要であるということです。
非エッセンシャル思考からエッセンシャル思考になるということは、いろんなことを捨てて、人からの依頼を断ることを意味します。
外部からの『刺激』に反応するのではなく、自らの行動を『選択』することこそがエッセンシャル思考だからです。
本書には以下のように記されています。
もしもたったひとつのことしかできないとしたら、自分はいま、何をやるのか?
選ぶ能力は誰にも奪えない。ただ、本人が手放してしまうだけだ。
エッセンシャル主義とは人生の主導権を取り返すための価値観。
エッセンシャル思考の最初の一歩は『選ぶ』ことを選ぶこと。
なんでもかんでも飛び付かずに、何が一番重要かしっかり見極めて、それだけをやると自分で選ぶ。
本書より引用
捨てる技術
まずは『捨てる』ことから考えましょう。
スローガンは
『これをまだ持っていなかったら、今からお金を出して買うだろうか』
これです。
実はモノだけでなくタスクにも使えるとても便利なフレーズです。
人間は、ある程度の期間所有したものを、まだ持っていないものよりも大事に感じる傾向があります。
サンクコストってやつですね。
埋没費用(まいぼつひよう、英: sunk cost)とは、事業や行為に投下した資金・労力のうち、事業や行為の撤退・縮小・中止をしても戻って来ない資金や労力のこと。 サンクコストともいう。
Wikipediaより
本書では、マグカップを使った実験が紹介されています。
何の変哲もないマグカップを2週間所有したグループと初めてそのマグカップを見たグループで分けます。それぞれのグループに、そのマグカップを購入するならいくらまで出すかを質問すると、2週間所有していたグループのほうが高い値段設定をすることが分かっています。
モノでも仕事でも、いったん『これは自分のものだ』という認識が発生すると、手放すのをもったいなく感じてしまいます。
マグカップ程度ならいいですが、たとえば生産性に直結していない自己満足のためだけの凝った資料作りなんかも、習慣的に続けていると作るのを止めるのをもったいなく感じてしまいます。
実例紹介
わたしは、この『これをまだ持っていなかったら、今からお金を出して買うだろうか』という考え方を自分の仕事に当てはめて考えてみました。
すると
「これって慣習的にやってるけど本当に必要なのか??」
と思うような項目がたくさん見つかりました。
代表的なものとしては、改善後の写真撮影です。
以前は職場で改善が実施されると、改善前と改善後の写真をいちいち取って記録として残していました。
改善活動が始まってから、ずっとすべての改善内容が写真で残されていたので、だれも写真を撮ることに疑問を抱いていませんでした。
しかし、『これをまだ持っていなかったら、今からお金を出して買うだろうか』を『これをまだやっていなかったら、今から時間をかけて実施するだろうか』という言葉に置き換えて考えてみると。絶対にやらなくてはいけない作業ではないことに気づきました。
写真を撮ることが目的になってしまっていて、あとから写真を見返したりすることもなく、写真の情報そのものが絶対になくてはいけないのかと言うと、決してそんなことありません。
写真を撮ることでどれだけ時間を消費しているかをサクッと算出し、上長に相談したところ、写真を撮るべき案件かどうか都度判断することになりました。これだけで、写真を撮る頻度をを約10分の1以下に減らすことができました。
逆プロトタイプ
逆プロトタイプというやり方も紹介されています。
自分にある程度決定権があればこの逆プロトタイプもかなり使える手法です。
やり方は簡単です。
今やっていることを試験的にやめてみて、不都合があるかどうか確かめる。
これだけです。
慣習で続けれられているけど、もはや始めたメンバーは誰もいなくて、続けることだけが目的になってしまっているようなことはないでしょうか。
やめることのメリットをあれこれ数値化して全員の納得を得るよりも、まずは逆プロトタイプをやってみる。という方法もお勧めです。担当者はやめることによるメリットを『体験』できるので、口で説明するよりもよっぽど効果的です。
コツは、とにかくやめてみることを強調するのではなく、効果を検証するために期限を設けて『中断』することを提案することです。
何かを選ぶことは、何かを捨てることです。
断る技術
エッセンシャル思考は『たったひとつの、今やるべきことは何か』を考えることです。
つまり、逆から見れば『たったひとつの、今やるべきこと以外のことをやらない』とも言えます。
何をやらないかきめ手『捨てる』ことは自分で判断することができます。
しかし、最も重要なことは『捨てる』よりも『断る』ことです。
なぜ『捨てる』必要があるのかと言えば、それはいったん所有してしまっているからです。所有していなければ『捨てる』かどうか判断する必要がありません。
そして、世の中のあらゆるものはあなたに色んなことを『所有』させようとしてきます。
スマホやパソコンのSNSやゲームアプリはあなたに『経験』を所有させることであなたの時間を奪おうとしてきます。
職場では、上司や同僚があなたをプロジェクトに巻き込んで彼らのタスクを『所有』させようとしてきます。
プライベートでも、本来はその人が自分で解決すべき問題をあなたに『所有』させることで、満足するような人もいます。
『所有』すると『捨てる』かどうか悩まなければいけません。
エッセンシャルではないもの、つまり本質的ではないものを『所有』しないためにも、あなたは『断る』必要があります。
断るのが怖くてあたりまえだと認める
まず第一に『断る』ことに対してお伝えしたいのが
断るのが怖くてあたりまえ
だということです。
人は人間関係に縛られた生き物です。
数千年前の狩猟採集時代には、仲間とのつながりが生死を分ける鍵でした。
だから同調の必要性が弱まった現代でも、仲間に嫌われたく無いという気持ちは本能として強く働きかけてきます。
この辺りのことはスマホ脳やサピエンス全史を読めばより詳しく理解できます。
こちらもオススメです。
けど、現代において、嫌われたからといって命を落とすようなことはまぁ起こり得ません。
断るときはキッパリと「ノー」と言いましょう。
曖昧に誤魔化すよりもしっかり断ることでより良好な人間関係を築くことが出来ます。
人は、ノーという勇気のある人を高く評価して尊敬します。
あれもこれも深く考えずに即やりますと返答するビジネスマンと、依頼されてもすぐには返答せずに、そのタスクの目的や期日をしっかり確認したうえで引き受けるかどうかを決定するビジネスマンのどちらの方が優秀でしょうか?
前者は何にでも反応してしまう落ち着きのない精神状態を表す『モンキーマインド』と呼ばれるそうです。
絶対にやりたいと思えなければ断る
絶対にやりたい!と思えなければ断りましょう。
言われたからやる。
みんながやっているからやる。
それでは思考停止しているのと同じです。
特に現代はSNSで多くの人と繋がることができるため『不特定多数の普通』に流されやすい傾向にあります。
絶対にイエスと言い切れないならすなわちそれはノーである。
本書より引用
断るための明確な基準を持とう
本書では90点ルールとうものが紹介されています。
やるかやらないか判断が必要な時に、この案件は90点以上だなと思えるものだけにイエスと答えるというものです。
キャッチーだけど若干が抽象度が高いです。
心構えやマインドセットの軸として90点ルールを自分の軸として持つのは良いと思います。
ただ、特にビジネスケースではあまり使えないテクニックかなと思います。
たとえば上司が何かしら新しい案件を依頼してきたときに、あなたが
「これは私にとって90点に満たないのでお断りします。」
とか言っていたら、失わなくてもよい信頼まで失ってしまいそうです。
そこで私は、もっと機械的にタスクの優先順位を決定することをお勧めします。
簡単に説明すると
①タスクをカテゴリー化
②パレートの法則でABC分析
③効果と難易度の2軸で数値化して評価
です。
【エッセンシャル思考】では紹介されていない、私の個人的なテクニックで、詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
『断る』ことに関しての注意点
あらゆる依頼を断れと言っているのではありません。
本当に重要なことをやるために、本質的では無い依頼を断る必要があるということです。
本質的な依頼や案件やタスクとは何でしょうか?
それは、自分の理念(軸)に直結することです。
自分の理念(軸)が何なのかは人それぞれ異なります。『どのように』断るのかテクニックを磨くよりも、まず先に『なぜ』断る必要があるのか、自分の価値観をハッキリさせておくことが重要です。
だからこそ、歴史や価値観やイデオロギーを学ぶことは重要です。
過去から学ぶだけでなく、現代のトレンドもある程度押さえておく必要があります。
なぜなら、世の中には何が正解で何が不正解かという絶対的な答えはなく、時代や過ごす場所によってその時々の最適解があるだけだからです。
胸を張って依頼を『断る』には、『断る』なりの理念が必要です。
自分の理念(軸)を基準に、できないことはキッパリとノーと言いましょう。
好印象よりも敬意を手に入れましょう。
本書ではうまく依頼を断ることは『自分の時間を安売りしない』と言うメッセージになり、これこそプロフェッショナルの証であると述べています。
断り方のレパートリー8選
本書では断り方のレパートリー8選が紹介されています。
『断る』と一言でいっても、色んな方法があるということに気づけます。
特に私は、5番の『どの仕事を後まわしにしますか?』に感銘を受けました。
これは、断りづらい相手からの依頼をうまくハンドリングする方法です。
ハッキリと自分の意見を述べることが好ましくないと感じた時に、相手にトレードオフを意識させるというテクニックです。
「ではご依頼いただいたこちらの案件を優先することを検討したいのですが、私はいま例の案件も抱えています。どちらを後回しにすればよいでしょうか?」
こう聞かれたら上司も、適当なことを言うわけにはいきません。
これ以上は並行して案件を抱えないという主張をハッキリ伝えつつも、判断は相手にゆだねています。
もしもこのような質問をした時に
「いいから黙ってやれ!」
と言われるような上司や職場だったら、自分ではなく環境を変えることをお勧めします。
明らかに戦うよりも逃げたほうが良い場合は、逃げることを選択しましょう。
その企業の従業員としてのあなたの役割は、組織に忠誠を示して成果を上げることかもしれませんが、もっと広い意味で考えると、あなたの人生の意味は何としてでもその環境にしがみつくことではないのではないでしょうか?
ちょっと話がそれましたが、このほかにもあと7つの『使える』断り方レパートリーが紹介されています。
人によって向き、不向きがあると思いますので是非本書を手に取って、自分に合った断り方の黄金パターンを見つけてみてはいかがでしょうか。
自分に出来る範囲で、自分らしいやり方で良い
【エッセンシャル思考】を読んでいると、コンセプトには強く同意できるのですが「こんなに意識の高い生き方が自分にはできるのだろうか…。」とふと考えがよぎります。
しかし、最後のほうで、結局は
自分にできる範囲で、自分らしいやり方でやればよい。と書かれています。
自分が決めた理想の自分になれるように、自分なりに頑張れば良いのです。
アメリカのIT企業の中心地であるシリコンバレーでよく使われている有名な格言があります。
『Done is better than perfect.』
完璧を目指すよりもまず終わらせよう。
という意味です。
完璧に実施するために長時間かけて壮大なプランを立てるよりも、まずは小さくはやくはじめましょう。
行動しながら調整していけば良んです。
肝心なのは長期的な継続による習慣化と、予測と振り返りを繰り返すことによる改善です。
しくみ化して無理せずに継続させよう
【エッセンシャル思考】では、ここまで説明してきた内容を、しくみ化、つまり習慣にすることで、無理せず日々の生活で実施していく方法が説明されています。
この記事の目標は、【エッセンシャル思考】とは何なのかを解説することですので、仕組化の部分に関してぜひ本書を手に取って、ご自身の目でご確認いただければと思います。
とはいえここまでの説明で、しくみ化をするためのヒントはいくつもちりばめられていました。
・思い立った時だけエッセンシャル思考を実施するのではなく、人生の軸にエッセンシャル思考を据える
・完璧よりもまず終わらせることを意識する
・ちいさくはやく始める
といった項目が当てはまります。
いきなりで恐縮なのですが、私の個人的な体験から、継続のコツをお伝えさせていただきます。(本書にはない内容です)
継続に必要なのは
①自分が何を継続したいのかしっかり理解する
②誰かに宣言する
③3の倍数を意識する(3日・9日・3週間・3か月…)
別の記事で詳しく解説しているので興味のある方は読んでください。
タイトルに込められた思い
ここからは解説ではなく、私の個人的な考察です。
エッセンシャル思考とは『本質だけに集中してそれ以外のことはやらないと決める』考え方です。
本書は洋書です。
原題は【Essentialism】なので、日本語版の題名の【エッセンシャル思考】よりも本来の意味としては【エッセンシャル主義】のほうがしっくりきます。
『エッセンシャル』には『必要、不可欠、重要』という意味が含まれています。けれども本書が伝えようとしている『エッセンシャル』とは『本質』のことです。
原題の【Essentialism】を正しく訳そうとすると、【本質主義】となります。なんだか堅苦しい感じですね。
とくに、日本の場合は『主義』という言葉から、『資本主義』や『社会主義』や『共産主義』といったイデオロギーのことを連想される方が多いと思います。
これらの言葉は、政治的な意味からも歴史的な意味からも少なからずマイナスなイメージを含んでいます。
なので、本書の日本題を【エッセンシャル思考】としたのでしょう。
しかし、これだとタイトルを読んだだけではピンと来ない方も多いかもしれません。
日本で『エッセンシャル』といえば、有名なシャンプーを思い浮かべる方も多いかと思います。
加えて『思考』というのは、その時々に展開される刹那的なニュアンスを含んでいます。
実際、この本が伝えたいことは
『本質』だけに集中するという『理念(主義)』を自分の人生の中心に据えよう
ということだと、私は解釈しました。
要は何が言いたいのかというと、エッセンシャル思考とは『思考』ではなく『理念』つまり人生に据えるべき『本質』ということです。
だからこそ本書を読むことで価値観が変わるきっかけを得ることできます。
価値観が変わると行動が変わります。
行動が変わると人生が変わります。
もしも、あなたが人生を変えたいと思っているのであれば、ぜひ手に取って実際に読むことをお勧めします。
漫画版もあります。
エッセンシャル思考と合わせてこちらもお勧めです。
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