この記事を読むことで、改善の鉄板ルールであるECRS(イクルス)の原則とは何なのかを理解することができます。
概念の説明だけでなく『動作』と『情報』それぞれの改善に適用される場合の実例も記載しました。最後には、上司を納得させるためのアクションプランも紹介しています。
ECRS(イクルス)の原則とは
まずはこちらの図をご覧ください。これがECRS(イクルス)の原則のすべてです。上の項目のほうが改善効果が高く、下に行くほど改善効果が低くなります。
以降はそれぞれの項目の考え方と詳細をお伝えします。
E(Eliminate):排除
そもそも必要?
よくよく考えてみると、作業との関連性などは特に気にせず、前からやっていたからという理由だけで続けてしまっていることがあります。やってもやらなくても同じことはいっそのことやめてしまおうという考え方です。
1→0
動作のE(Eliminate):排除
・意味のない定例ミーティングをやめる。出席しない
・同僚から仕掛けられる意味のない雑談をキッパリと断る
情報のE(Eliminate):排除
・意味のないレポートを廃止する。提出しない
C(Combine):結合
別々に作業しなくてもいいよね?
別々に処理しているけど実は一連の流れで処理できることがあるかもしれません。もしくは別々に処理していることをひとつのプロセスで処理できる場合もあります。作業や業務を圧縮することができないかという考え方です。
2→1
動作のC(Combine):結合
・メールや書類は通知があるたびに開くのではなくあらかじめ決められたタイミングでしかチェックしない
情報のC(Combine):結合
・他部署でバラバラに購入している消耗品を一度に発注する
R(Rearrange):再配置
手順を組み替えることができないかな?
プロセスや情報の量は変わらないけれど、場所を入れ替えることで付加価値を加える手法です。思い切ってやめたり、2つのことを1つにまとめたりはしないけれど、置き換えることで全体の効率を向上させることを目的とします。
代表的なものとしてはレイアウトの変更があげられます。よく使うものは近くに置きましょう。
A→A´
動作のR(Rearrange):再配置
・毎日取りに行く消耗品の保管場所を作業エリアの近くに移動させる
情報のR(Rearrange):再配置
・同じタイミングで使う様々な場所に保管されているデータを一つの場所にまとめる
・ショートカットをまとめたフォルダを作る。リンク一覧表を作る
S(Simplify):単純化
もっとシンプルにすることはできないかな?
プロセスを単純化したいということは逆説的にそのプロセスが複雑だということを意味します。なぜプロセスが複雑かというと『判断基準』がないからです。
単純化は判断基準が不明確なプロセスにルールを定めることで複雑さを解消する手法です。
0→1
動作のS(Simplify):単純化
・似たような添付書類がある場合は紙の色を変えて一目でどの書類か判断できるようにする
(紙に色という付加価値情報を加えることで内容を確認しなくても判断できるようにする)
情報のS(Simplify):単純化
・トラブルが発生した時の対処フローを作成する
少し立ち止まってECRSの原則に当てはめよう
改善というものは、改善しようとかんがえていてもなかなか思いつきません。
普段の作業をしている時や、家に帰ってリラックスしている時にふと思いついたりします。
そんな時、自分が思い付いたアイデアだけでなく、少し立ち止まって改善の対象をECRSに当てはめてみることをオススメします。
例えば、自分が思い付いたアイデアは、判断基準のない作業にルールを設けるという内容だとします。これはECRSの原則でも一番効果が低いS(単純化)にあたります。
ECRSの原則を当てはめずに、そのまま改善を進めると単純化が完了します。
しかし、自分が思い付いた改善をECRSの原則に当てはめてみると、もっと広い視点で改善対象のプロセスを見ることができます。
自分が思い付いたのは、ルールを設けるというアイデアでしたが、実はそのプロセス自体がなくてもいいものかもしれません。ECRSでいうところのE(排除)が適用できます。
S(単純化)よりもE(排除)のほうが改善効果が高いのは説明してきた通りです。
このように、立ち止まってECRSの原則を当てはめてみることはメリットだらけです。
アクションプラン:逆プロトタイプで攻めよう
コツは2つ
・メリットを数字で提示すること
・期間を設けること
やり方を変えることを提案された上司は、なぜ変えるのかを上司の上司に報告する必要があります。
その時に、メリットが数字で具体的に提示されていることと、もしうまくいかなかったとしても期間限定の取り組みだったと説明できることが後押しになります。
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