セールスの本質とはニーズを気付かせること【ウルフ・オブ・ウォールストリート&SPIN営業術】

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『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(The Wolf of Wall Street)という映画が大好きです。

実在する人物である元株式のブローカーであるジョーダン・ベルフォートの半生が恒常的なドラッグの使用や放漫な性的描写と共に描かれているR指定の映画です。

テンポの良いストーリー展開と音楽の効果的な使い方によって構成されている上質なコメディ映画です。ポスターのキャッチコピーは「貯金ゼロから年収49億円 ヤバすぎる人生へ、ようこそ。」です。

ものすごく雑にストーリーを要約すると、バブル崩壊のきっかけともなったブラックマンデーをきっかけに職を失って人生のどん底まで落ちてしまった株式ブローカーがハチャメチャなやり方で成り上がって行くも最後は多数の罪状で有罪になり失脚する。けど短い刑期を終えて出所後はまた「人に何かを売る」ことを生業にして生きていく。といった感じです。

こんな感じで『ウルフ・オブ・ウォールストリート』はR指定だしハイテンポなコメディなので、一見するとジェットコースタームービーとして片づけられてしまいがちですが、何回も観るうちにこの作品が本当に伝えたいことは何なんだろうか?と考えるようになりました。

私なりにたどり着いた結論は2つです。

  1. 株式市場、もっと言えばカネ(貨幣)は虚構でしかない
  2. セールスの本質とは相手にニーズを気付かせること
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『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のざっくりストーリー解説

この2つの本質的なテーマは『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の最初と最後で語られます。

22歳で結婚したジョーダン・ベルフォートは、金持ちになる野望を抱きウォール街の投資銀行・LFロスチャイルドに入社。そこで風変わりな上司・ハンナとランチを共にし、この世界ではコカインとリラックスが成功する秘訣と教えを受ける。半年かけて株式仲介人の資格を取り、意気揚々と出社した日に「ブラックマンデー」に襲われ、会社は倒産。失業したジョーダンは新聞の求人欄で家電量販店の倉庫係に目をつけるが、妻が「株式仲買人」の求人を見つける。コンピュータもない粗末な事務所を訪ねると、扱うのは1株6セントなどの店頭株だけだが、手数料は50%だと説明され意欲を出す。巧みなセールストークであっさり2000ドルを稼ぎ皆から英雄扱いされる。こうしてジョーダンはクズ株を売り続けボロ儲けした。

稼ぎで購入したジャガーを駐車場に停めていると、家具屋のドニーが声をかけてきた。月収を聞かれ7万ドルだと教えると、ドニーは下で働くという。その後お礼としてクラックを勧められ一緒にハイになった。ガレージを事務所に借り会社を始め、マリファナの売人を営業マンとして雇用した。ジョーダンは社員にペンのセールスを例に手本を見せた。「このペンを売るには、相手にナプキンに名前を書けと言え」とセールスの基本である需要と供給を教える。

中略

多数の罪状で有罪になるも、4年の減刑の代わりに盗聴器をつけてウォール街の仲間の情報を集めるよう、FBIから司法取引を持ちかけられ協力する。数年後、ニュージーランドで講演を行う姿があった。彼は「このペンを売ってみろ」と語りだした。

Wikipediaより引用

株式市場、もっと言えばカネ(貨幣)は虚構でしかない

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の冒頭では主人公のジョーダン・ベルフォートが金持ちになる野望を抱きウォール街の投資銀行・LFロスチャイルドにはじめて出社する日が描かれます。

そこで風変わりな上司・ハンナにランチを誘われて株式売買の極意を教わることになります。

上司のハンナは新入社員のジョーダンに

「この世界(株式売買)で一番重要なことは何だと思う?」

と問いかけます

新入社員のジョーダンは

「優良な株を顧客に買ってもらうことで我々も顧客も共に利益を得ること」

と伝えますが、それは間違っていると指摘されてしまいます。

ハンナは

「いいか、ジョーダン。大事なのは客を観覧車に乗せ続けることだ」

と言います。いまいち要領を得ていないジョーダンにハンナは続けます

「いいかジョーダン。株式なんてのは実在しない。ただの紙だ。フィクション(虚構)だ。けど、そのただの紙がまるでカネと同等のように扱われて価値が上がったり下がったりする。株の価格が上がるのか下がるのかは誰にだってわからない。ただひとつ、この世界で確実なことは、俺たち株のブローカーには取引のたびに手数料が入るってことだ。手数料は実在するカネだ。お前はそのカネを手に入れて何でもやりたいことをやればいい。客につかませた株の価格が上がったら、我々がやるべきことはたったひとつだけ、さらに株を買い増しさせるんだ。絶対に現金化させてはいけない。客は価格が上がった株を現金に換えてご機嫌で家に持ち帰ろうとする。それだけは絶対に阻止しなくちゃいけない。客を観覧車に乗せ続けるんだ。永遠に回り続ける観覧車だ」

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』は全体を通してかなりハイテンポなのですが、冒頭のこのシーンは10分以上を使ってかなり丁寧に描かれます。(とはいえハンナはランチだというのにアルコールを飲んでさらにコカインをキメながらこの「株式に対する哲学」を語るのですでにかなりぶっ飛んでますが。笑)

この、ハンナのシーンがあるからこそ、この先描かれるジョーダンの半狂乱の半生を「すべて株式というフィクション(虚構)の上に成り立っている」という視点で観ることができる仕掛けになっています。

セールスの本質とは相手にニーズを気付かせること

半年かけて株式仲介人の資格を取り、意気揚々と出社した日に「ブラックマンデー」に襲われ、会社は倒産してしまいます。紆余曲折の末、ジョーダンは自分で株式仲介の会社を興すことになります。

主人公のジョーダンは会社を興すために社員を募ります。レストランに集まった候補者たち(マリファナの売人)に対して手元にあったボールペンを手渡して

「そのボールペンを俺に売ってみろ」

と言います。

それまで「俺なら何でも売れる」と豪語していた各メンバーは一様に押し黙ってしまいます。あなたならどうしますか?私も候補者たちと同じく何も思いつかず黙ってしまうと思います。

1人だけすでに自分のビジネスを成功させているブラッドがボールペンを手に取り

「このナプキンにサインをしろ」

と言います。

主人公のジョーダンはにやりと笑みを浮かべて

「ボールペンがない」

と返すと、ブラッドは

「じゃあこのボールペンを売ってやる」

とさらに返します。ジョーダンは

「まさにこれだ!彼はニーズ(必要性)を生み出したんだ!」

と全員に言って聞かせます。

候補者はジョーダンに対してボールペンの特徴や価格は一切伝えていません、唯一やったことは、ジョーダンがそのボールペンがないと困る状況を作り出したことです。つまり自分の商品(サービス)にニーズを作り出したということです。

人に何かを売る、つまり顧客に自分のサービスを売ることの本質は、この「そのボールペンを俺に売ってみろ」にすべて詰まっています。

印象的なのは、映画の最後が、この「そのボールペンを俺に売ってみろ」で締めくくられていることです。

何やかんやあって大成功したものの有罪判決を受けて3年の刑期を終えたジョーダンが、ニュージーランドで講演を行うシーンで映画は終わります。ジョーダンはスーツの胸ポケットからボールペンを取り出して、「このペンを売ってみろと言われたら、あなたならどうしますか?」と講演を聞きに来ている人々に対して語りだすところでストーリーは幕を下ろします。

ジョーダンの魅力的な半生を過激な映像で表現したいだけなら、あえてこのシーンをラストに持ってくる必要はありません。作り手が本当に伝えたかったことは、この「ボールペンのくだり」にすべて託されているように思えてなりません。

「SPIN」営業術という本を読んで

世界中で30年以上売れ続けている『SPIN営業術』という本を読んだことで『ウルフ・オブ・ウォールストリート』をより楽しめるようになったので紹介させていただきたいです。

最近、娘が通う保育園の同学年の友達のお父さんと知り合いになりました。年下ですが証券マンとして働く彼は普段から様々な年代の人の話を聞く機会があるとのことで、知識が豊富で話していてとても楽しいです。

私はいつも「この人から何か学べないかな」と思ったときは、なにかオススメの本はないかと聞くようにしています。そうしたら教えてくれたのが『「SPIN」営業術』という本でした。正式名称は『大型商談を成約に導く「SPIN」営業術』という本です。30年以上前に発売され、現在も世界中で売れ続けている世界的なベストセラー本です。(教えてもらうまで知りませんでした)

わたしは営業職ではないので仕事のパフォーマンスを伸ばすという面では期待せずに読み始めたのですが、内容が本質的だったのでとても参考になりました。人にモノを売ることに限らず、仕事を進めていくうえでとても参考になる内容でした。

『「SPIN」営業術』では、顧客に売りたいサービスの特徴を押し付けるのではなく、なぜそのサービスが顧客にとって必要なのかということを「顧客自身に気づかせる」ことの重要性が、商談の開始時、中期、そしてクロージングの段階別に分けて細かく解説されています。

話を『ウルフ・オブ・ウォールストリート』に戻しましょう。

いきなり、「このボールペンを私に売ってください」と言われるとやってしまいがちなのは、売ろうとしているボールペンがどれだけ素晴らしい商品なのか、製品としての良い特徴を伝えようとすることです。しかし、取り扱う製品がどれだけ素晴らしいのかを証明するために良い特徴を並べても買ってもらえる可能性は低いです。

なぜなら製品の特長はそのまま価格への懸念につながるからです。

「こんなに良い機能や特徴がある製品なら、結構高いんじゃないだろうか」

という感じです。

小型商談なら、特徴を並べて買い手が値段に納得すれば買ってもらえる可能性はあります。ただ、商談の規模が大きくなればなるほど、サービスの良い特徴を羅列するだけでは買ってもらえなくなります。

なぜなら顧客は「今説明を受けているサービスと同等かそれ以上の特徴を持った別のサービスを取り扱っている別の売り手がいるかもしれない」と考えるからです。

「製品の特長を伝えずにどうやってサービスを売るのか?」と思うかもしれません。重要なのは顧客にそのサービスを購入することで自身の問題を解決できると気づかせることです。

問題を解決できると気づかせるということは、まずは問題を認識させる必要があります。

小難しいことを言えば、顧客が気付いていない「潜在ニーズ」を自分が売ろうとしているサービスで解決できる「顕在ニーズ」に変換させれば、売り手が黙っていても顧客がサービスを欲しがり出すというわけです。

私は営業職ではないのですが、この「潜在ニーズ」と「顕在ニーズ」というキーワードを知ってから、より仕事が進めやすくなりました。自分が進めたいプロジェクトに、上司、同僚、部下に協力してもらうさいの説得にとても役立っています。

前から何となく「仕事の本質は誰かの問題を解決すること」だとは気づいていたのですが。その問題を「潜在」から「顕在」に移行させることについては特に注意を払っていませんでした。

あと、利点の押し売りも時として良くない影響を与えるということもとても参考になっています。

まとめ

〇株式市場、もっと言えばカネ(貨幣)は虚構でしかない

上がったり下がったりする株価は虚構でしかなく唯一確かなのはブローカーが手にすることができる手数料だけ。

〇セールスの本質とは相手にニーズを気付かせること

サービスの特徴を羅列するのではなく、なぜそのサービスが相手にとって必要なのかを気付かせることができれば向こうから買いたいと言わせることができる。

〇「SPIN」営業術という本を読んで

30年以上世界中で売れ続けている「SPIN」営業術という本を読むことで『ウルフ・オブ・ウォールストリート』という作品が伝えようとしている本質的な部分をより深く理解することができる。

ウルフ・オブ・ウォールストリート

今回参考にした書籍

 

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