ロジカルシンキングは論理的思考。クリティカルシンキングは批判的思考です。
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングという言葉をご存知でしょうか。
社会に出て働いている方であれば誰でも、どこかで聞いたことくらいはあるかもしれません。
私は、このロジカルシンキングとクリティカルシンキングは働いていくうえで必須スキルだと考えています。
むしろ、仕事だけではなく、人生全般においても必須スキルです。
知っていると知らないとでは、人生を有意義に送れるかどうかという観点で大きな差が生まれるでしょう。
なぜならば、人生とはあらゆる『問題』を解決していく行動の連続であり、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングは、その問題解決に非常に役に立つからです。
ロジカルシンキングは論理的思考
ロジカル=論理的な、合理的な
シンキング=考え方
ですので、ロジカルシンキングとは論理的かつ合理的な考え方ということになります。
と、言われてもなんだかよくわかりません。
ロジカルシンキングは問題を『多角的』にとらえるための考え方です。
問題そのものには疑問を持ちません。
あくまでも解決策を掘り下げて考えていくための手法です。
ルールという枠内の中で一番効果的な問題の解決策を導き出すための手法とも言えます。
より具体的に理解するために、将棋を例にとって考えてみましょう。
将棋では『相手に勝ちたい』という目的=問題があります。
そして将棋には駒の動かし方やその他色々なルールがあります。
自分と対戦相手で交互に駒を動かします。駒は一度にひとつしか動かせません。
歩のように特定の駒を同じラインに2枚おいてはいけないという変則ルールもあります。
時間制限がある場合もあります。
この将棋をプレイする上で、守らなければいけないルールに従って、相手に勝つ事を考えるのがロジカルシンキングです。
クリティカルシンキングは本質的思考
さて、つぎはクリティカルシンキングについて考えてみましょう。
クリティカル=批判的な
シンキング=考え方
クリティカルシンキングは直訳すると『批判的思考』になります。
なにを『批判』するのかというと『問題』そのものです。
ただし批判というワードにネガティブな響きがあるので、個人的には『本質的思考』と呼ぶほうがしっくり来ます。
クリティカルシンキングは問題を『本質的』にとらえるための考え方です。
ロジカルシンキングと同様に問題を解決することが目的ですが、どのように解決するかの『姿勢』が全く異なります。
クリティカルシンキングは問題をどう解決するかというよりは、問題の本質を捉えようとする考え方です。
将棋で例えるのなら、そもそも、なぜ将棋をやる必要があるのか?ということを掘り下げていく考え方です。
そもそも、なぜ将棋をやる必要があるのかを考えます。
将棋をプレイする目的が『勝ち負けをハッキリさせる』ことだったら、そもそも将棋じゃなくても勝ち負けをハッキリさせることができる手段がいくらでもあります。
もっと問題の本質を掘り下げていけば、もしかしたら勝ちか負けかを決めなくても良い状況だということに気づけるかもしれません。
対戦相手の本当の目的は将棋を通してあなたと『対話』することかもしれません。
問題の本質は将棋の勝ち負けではなく、対戦相手があなたとわかり合いたいけれど、充分なコミュニケーションが取れていないと感じていることかもしれません。
このように、クリティカルシンキングは問題をどう解決するかよりも前に、その問題の本質がなんなのかを考えます。
それぞれの注意点
ロジカルシンキングの注意点
ロジカルシンキングにおいて、問題の定義が間違っていると、間違った解決策に論理的にたどり着いてしまいます。
ロジカルシンキングは問題を解決するための考え方ですので、問題をどうにかすることに集中してしまい、問題の設定が正しいかどうかという観点がつい抜けがちになってしまいます。
将棋の例では、将棋のルールにしたがって将棋に勝つことを『問題=目的』として設定した場合、もしも本当の問題が将棋の勝ち負けの『外』にあったとしたら、どれだけロジカルシンキングを駆使しても本当の問題解決には辿り着けません。
はじめから目的地を間違えて設定してしまっていたら、どんなに早くたどり着いたとしても到着した場所は間違ったゴールでしかありません。
クリティカルシンキングの注意点
クリティカルシンキングは、批判的思考と呼ばれるだけあって、基本的には自分に向けて行う行為です。
自分の設定した『問題』の定義が間違っていないかを考えるための手法です。
これを、自分以外の人に向けてやってしまうと、単純に相手を批判する行為になってしまいます。
問題が自分一人だけのものではない場合、家族やチームといった複数人の組織で対応することがあります。むしろそういうケースの方が多いです。
クリティカルシンキングを重ねた上で、問題の定義が間違っているのではないかという考えに至ったのであれば、あくまでもそれはあなたの意見として、相手に問いかける形で提案しましょう。
クリティカルシンキングで批判するのはあくまでも『問題』であり、あなたと協力して問題を解決しようとする人たちの考え方や人格ではありません。
どう使うか
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングをどう使うかに関しては、内容よりも『順番』が重要になります。
まずはクリティカルシンキングです。
冒頭で人生とは問題を解決することの連続だと書きました。
問題の本質をとらえることができれば、やり方が多少スマートでなくても、いつかは問題を根本的に解決することができます。
しかし、問題の本質をとらえられずに、間違った問題を真の問題だと定義してしまうと、どんなにやりかたがスマートでも問題そのものはいつまでたっても解決することができません。
まずはその問題の『本質』を見極める為に、しっかりクリティカルシンキングをすることが大事です。
クリティカルシンキングで問題の『本質』をとらえることができたら、あとはロジカルシンキングでもっとも論理的かつ合理的な解決方法を模索していきましょう。
体験談をふまえて説明
私は20代中盤のころに世界的名著である『7つの習慣』という本に出会い深い感銘を受けて、言うなれば『成長主義』にとらわれました。
一時期わたしは心の底から
『人生の目標は成長し続ける事』
だと考えていました。
成長し続ける事を人生の目標とすれば、この世を去る時でさえ『ここまで成長できたんだから悔いはないと思えるはず』と強く信じていました。
7つの習慣に出会ったことで、生活習慣を見直し、英語学習を始めて、外資系の会社に転職することができました。
しかし、30代に入ってガムシャラに働き続けていた頃、ガス欠になったかのように何事にも意欲を持てなくなってしまいました。
私が成長主義と呼ぶこの考え方は『なぜ生きるのか?』という人生最大のテーマ、つまり人生の問題の『本質』を無視して、『どのように生きるのか』にしか目を向けることができていない状態でした。
私に必要だったのは、どのように生きるのか考えるロジカルシンキングではなく、なぜ生きるのかを本質的に考えるクリティカルシンキングだったのです。
私は、そもそもなぜ成長し続ける必要があるのか?を考え始めました。
成長し続けることが本当に人生の目的なのか?
成長は目的を達成するための結果でしかなく到達点ではないのでは?
では、人生の目標とはなにか?
色々と考えました。
そしてたどり着いた結論が
『人生の目的は自己承認と自己実現である』ということでした。
つまり、夢を実現する事(自己実現)が人生の目標で、そのために自身の能力を向上させる必要があり、さらにそのためには、まず自身のありのままを受け入れる(自己承認)が必要。ということです。
このことに気づくことができた時に、ずっと頭にかかっていたモヤがはれてとても清々しい気持ちになった事を今でも覚えています。
ふたたびいろんなことに対して意欲を持てるようにもなりました。
わたしがこうしてブログを書いているのも、クリティカルシンキングによって自分の人生の本質を見つめ直したことがきっかけです。(詳しくはプロフィール記事をどうぞ)
最後はすこし哲学的な話になってしまいましたが、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの違いがお分かりいただけたかと思います。
要は、可能な限り掘り下げて考えていかないと、なかなか問題の本質には辿り着けないという事です。(クリティカルシンキング)
そして、問題の本質を捉えることができさえすれば、あとは適切な対策を考え抜くことに集中することができるはずです。(ロジカルシンキング)
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