【結論】
性格を変えることはできないけれど、価値観を変えることはできます。
脳の成長プロセスによって説明が可能です。
突然ですがあなたは明るい性格ですか?
積極的でしょうか?慎重でしょうか?それとも大胆でしょうか?
私たちの人生と『性格』は切っても切り離せない関係です。
この『性格』はしばしば変えられるものとして認識されがちです。
トレーニングや考え方しだいで、消極的な人は大胆に、暗い人は明るく、内向的な人は外交的になれる!と言った具合です。
でもそれって本当でしょうか?
私は内向的な性格で、今でこそ自分のこの性格を受け入れ、かけがえのない個性だと感じることができていますが、前は嫌で嫌で仕方がなかったです。
明るくて外交的で面白い友達のように無理して振る舞って、一次的に板についた時期もありましたが、時間の経過とともに本来の性格に自然と戻ってしまいました。
体はひとによって千差万別です。
たとえば足が不自由な人にたいして、健全な人と同じスピードで走れと言ったりはしません。
私は、心にも同じことが言えると思うのです。
心だってひとによって千差万別です。
どうしても苦手とする分野や考え方があって当然だと思います。
しかし、社会は心に関してそこまで差異を認めていないように感じます。
そんなことを考えていたある日、そもそも『心』ってなんなんだ?という疑問にぶち当たりました。
ヒトは、目には見えないけれども自分に付随していることを『心』ととらえがちです。
『性格』と『価値観』も『心』としていっしょくたにとらえられています。
性格、価値観、精神、理念、理性、直感、などなど、目には見えないけどその人が持つものを総称して『心』と言っています。
頭だけで考えていても仕方がないので、答えを求めていろんな本を読みました。
そんな中でも私はある本に出会い、『性格』と『価値観』は明らかに異なるものであるということに気づくことができました。
『性格』は変えることができないけれど『価値観』は変えることができるという考えに至るまでの、大きなきっかけを与えてくれた書籍が、こちらの『さぁ、才能に目覚めよう』です。
タイトルだけ見ると、なんだかそこら中にあふれている自己啓発本のような印象を受けますが、この本は『才能』とは何なのかをとことん突き詰めた結果、才能とは、無意識に繰り返される思考、感情、行動のパターンである。と定義しています。
一般的な『才能』という単語から連想されるイメージとだいぶ違いませんか?
『さぁ、才能に目覚めよう』の本来のコンセプトは、自分の才能(強み)を再発見して、仕事に活かすことです。しかし、読み進めていくうちに、私は才能とは性格そのものなのだなと解釈しました。
とはいえ、人はたったひとつの経験で考え方をガラッと変えてしまう生き物でもあります。考え方が変わると行動も変わります。世の中には、以前会った時とはまるで別人のように変化する人もたくさんいます。
A:才能とは性格そのものであり、無意識に繰り返される思考、感情、行動のパターンである
B:ヒトはいつでもどんな時でも変わることができる生き物である。
明らかにAとBは矛盾しています。
この疑問を解消するために、さらにいろんな本を読みました。
その中でも特に参考になった本が以下の作品です。
『スマホ脳』
『嫌われる勇気』
『サピエンス全史 上下巻』
『ニュートン式超図解 最強におもしろい!! 脳』
私は、人間には『性格』と『価値観』の両方が備わっていて、それは全く別物なんだということに気づくことができました。
この考え方は、複雑な社会を生きていくうえでとても役に立ちます。
具体的には、無駄に他人に期待しなくなります。なんなら自分にすら無駄な期待を持たなくてよくなります。
人がストレスを感じるのは、期待を裏切られたと感じる時です。
私は、『性格』と『価値観』の仕組みと違いをしっかり理解することで、日々のストレスを軽減できています。
『性格』と『価値観』
そもそも『性格』ってなんなんだろう?
そんなことを考えたことはありますか?
自分がどんな『性格』なのか。
ではなく、『性格』とはそもそもなんなのか。
私は持ち前の内向的な性格で、『性格』の正体について自分が納得できるまで考え抜きました。
いろんな本にも力を借り、私がたどり着いた結論、それは『性格』とは生きていく上で生存確率を少しでも上げるためにその人に備わった『判断装置』である。ということでした。
ちなみに、『性格』は脳の構造上15歳をすぎたら一生固定され、変えることはできません。
変えられるとしたら、それは『価値観』でしょう。
・性格はパーソナリティです
・価値観はマインドセットです
ほとんどの人はこのふたつがごっちゃになっています。
脳と性格の関係 ニューロン/シナプス/ホルモン
順を追って説明します。
ご存じのとおりヒトの肉体は生まれた瞬間から20歳くらいまでゆっくりと時間をかけて成長していきます。しかし、脳だけは例外です。
脳の体積は体重の2%程度ですが、1日で人体の基本的な消費カロリーの20~25%を消費しています。大きさに対して消費エネルギーが桁違いに高いことからも、脳がいかに重要な役割を果たしているかが分かります。
脳は生まれる前、つまり母親の胎内にいる時からすでに細胞分裂を繰り返し、その神経の数を爆発的に増やしていきます。
その神経のことをニューロンと呼びます。
脳内には約1,000億個のニューロンが存在しており、それぞれがシナプスによって相互に接続されています。ひとつのニューロンごとに100から100,000の接続部が形成されます。
この接続部のことをシナプスと呼びます。
脳は外部や内部からの情報を得ることで、脳内伝達物質を分泌します。
この物質のことをホルモンと言いいます。ホルモンには種類があり、ニューロンがシナプスを介してホルモンを伝達することにより、怒りや悲しみや快楽といった感情を発生させます。
ヒトが人生で一番多くの脳内神経数を得るのは、いくつの時かご存知でしょうか?ヒトは3歳の時に人生で一番多くの脳内神経接続数を得ます。
しかし、3歳から15歳の間に多くのシナプスが失われ、16歳の誕生日までに回路が半分になります。
生まれる前からせっせとつなぎ合わせてきた神経接続を『あえて』カットしていくのです。
使用頻度の高い回路のみを残して、太くて強くて速い回路、つまり高速道路(ハイウェイ)が形成されていきます。
ニューロンAは100個、ニューロンBは100,000個の接続数を選択して…といったように1,000億のニューロンどうしの組み合わせには無限大のパターンがあります。
だから、人はそれぞれ『性格』が異なるのです。
『逃走』か『闘争』
もう少し踏み込んで説明します。
生きていくことは『判断』の連続です。
『判断』のたびに、無数の可能性をいちいち考慮していては、時間がいくらあっても足りません。
一部の地域を除いて現代はとても平和なので、時間がかかるだけで済みますが、古代の狩猟採集時代では、瞬時に逃げるか戦うかを『判断』できないと生死に直結しました。
人類は生き残るために、常に『逃げるか、戦うか』を『判断』し、選択してきました。
そして、現代でも私たちの脳は、つねに『逃げるか、戦うか』を判断しています。
つまり、この脳の成長のプロセスは、何百万年も続く人類の進化の過程で、少しでも生存確率をあげるために、ヒトが進化してきた結果なのです。
ある人によっては危険を察知した瞬間に逃げることが、生存確率をあげるために一番良い方法かもしれません。脳はホルモンを伝達させ、『恐怖』や『不快感』を感じさせます。
そんな脳を持っている人の『性格』は『慎重』だったり『臆病』と評価されるでしょう。その人の胸は『悲しい』気持ちでいっぱいになるかもしれません。
また別の人によっては、危険を察知したらそれを排除することが、生存確率をあげるために一番良い方法かもしれません。脳はホルモンを伝達させ『怒り』や『興奮』を感じさせます。
『喜び』すら感じる人もいるかもしれません。
そんな脳を持っている人の性格は『大胆』や『積極的』と評価されるでしょう。
前者の戦略は慎重、臆病、内向的で、後者の戦略は大胆、積極的、外交的な性格を形成します。
『意思』が『性格』を形成するのではなく、『脳の機能』が『性格』を形成しています。
この脳の機能、つまり高速道路の形は人間の性格を形作っています。
『変えられないこと』と『変えられること』
この脳の成長プロセスに照らし合わせると、『性格』とは、形成されていくというよりは、成長に伴って『現れてくる』と表現したほうが正しいのかもしれません。
この高速道路の形は人によって異なるため、同じ性格は存在しません。
15歳までに建設されたこの脳内の高速道路は簡単に再建されません。
そのため、個人の性格を簡単に変えることはできません。
しかし、考え方を変えることは可能です。
考え方を変えるとは、つまり今までの価値観を新しい価値観に置き換えるということです。
何を変えられるのか、何を変えられないのかを考えることが重要です。
性格と価値観を分けて考えましょう。
いかがでしたでしょうか?
『性格』と『価値観』の違いがお分かりいただけたかと思います。
『性格』は脳の構造上、変えることができません。つまり自分の意思ではどうにもできないこと。
コントロールできないこと。風が吹いたり雨が降ったりする自然現象と同じです。
むしろ『性格』は無駄な脳内神経回路を削ぎ落とし、強固なハイウェイだけを残した結果、あなたに与えられた、あなたにしか所有できない、あなただけの特別なギフトです。
『価値観』は違います。私たちは自分で『価値観』を選ぶことができます。
『価値観』は明らかに自分の意思で選択でき、コントロール可能な要因です。
しかもいつだって新しい価値観に更新可能です。
ルイ14世とルイ16世に学ぶ『価値観』の柔軟性
ルイ14世の超絶名ゼリフ
「朕は国家なり」
この一言で彼がいかにフランスの中心だったかがわかります。
民衆はルイ14世が、というより自国の王が絶対的な権威を所有しているという『価値観』に従っていました。
しかし、ルイ16世の頃になると、彼は妻のマリーアントワネットと共にギロチンの刑に処されてしまいます。
ルイ14世とルイ16世は祖父と孫の関係ではないので二人の時代で100年以上の開きがありますが、とはいえ100年です。
たった100年で絶対王政という『価値観』は『民主主義』という今までになかった全く新しい『価値観』に取って変わられてしまいました。
このように『価値観』とはとても柔軟に変更可能であり、かついつでも何回でも変更可能なのです。
『性格』との付き合い方と『価値観』の使い方
コントロールできることと、できないこと。限りある時間の中でどちらを選ぶべきでしょう?
コントロールできない『性格』は受け入れて、長所として伸ばす。
私の内向的な性格は本を読んだり、表計算に集中したりするのにとても向いています。
コントロールできる『価値観』は積極的に変えていくことができます。
文化の違いや時代の変化により、自分が最善だと思える『価値観』は常に変化していくからです。
知らない『価値観』は取り入れることができません。だからいろんな文化や歴史や考え方を学び、知るのは、新しい『価値観』との出会いでもあり、私はとても好きです。
『性格』と『価値観』の違いがお分かりいただけたでしょうか?
最後に、今回参考にした書籍をもう一度紹介して、この記事を締めくくりたいと思います。
メインで参考にした書籍
『さあ、才能に目覚めよう』
補足として参考にした書籍
『スマホ脳』
『嫌われる勇気』
『サピエンス全史 上下巻』
『ニュートン式超図解 最強におもしろい!! 脳』
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