そんなあなたには『ハイパワーマーケティング』という本がオススメです!本記事はマーケティングに関する世界的名著『ハイパワーマーケティング』という本についての要約です。
この記事でわかること
・ビジネスの本質3選
・『顧客数×購入頻度×商品単価』の具体例
ハイパワーマーケティングは、マーケティング=『人になにかを売るとはどういうことか』を説明する点において世界的な名著として有名です。その内容は2つのコンセプトに分類できます。
ひとつはテクニカルな分類です。
たとえば電話で営業をかけるときや見込み客にDMを送るときの鉄板法則などです。しかしこれらのテクニックは時代の変化とともに移りゆくものなので、これから先も通用するとは限りません。
日々テクノロジーが発達していく現代では、電話営業は過去の産物になりつつあります。
2つ目の分類は細かいテクニックとは違いもっと本質的な部分です。
この本の真価はひとつめの分類であるテクニカルな部分ではなく、ふたつめの分類である『本質』の部分にこそあります。
なので今回は『人にモノを売るときに注意すべき本質』の中から、これこそ本質の中の本質!と思える極意3選をお届けします!
ビジネス=顧客数×購入頻度×単価
1.クライアントの数を増やす(顧客数)
2.クライアントが購入する頻度を増やす(購入頻度)
3.クライアント一人当たりの平均販売額を増やす(商品単価)
ビジネスを大きくするこれらの要因3つは今から紹介する本質3選と見事に連動しています。
『ビジネス=顧客数×購入頻度×商品単価』
ビジネスの本質を理解するにはこのシンプルな公式を覚えるだけでOKです。
本質1.魚のいる場所で釣りをせよ
どんなに高品質で高性能な製品を売ろうとしてもその商品を買いたいと思う人がいなければ売れません。
魚とは言うまでもなく『需要』のことです。
さらに言えばこの需要は顧客すら気づいていない潜在的な欲求を満たしていればなお良いです。
TSUTAYAは顧客が品揃えの良いレンタルDVD、Blu-rayを求めていると考えていました。けれどもNetflixはさらに深くにあるもっと本質的な要求に気づいてました。
顧客は上質な作品を物理的に、かつ安価にレンタルしたいのではなく、ただ上質な作品を安価で手軽に楽しみたいだけだったのです。
この『魚』つまり『顧客の欲求の本質』を見抜きサブスクリプションによるストリーミングサービスというビジネスを確立させたことで、NetflixはたちまちTSUTAYAのビジネスモデルを過去のものにしてしまいました。
テレビのリモコンには当たり前のように『Netflixボタン』がついていて、何年もそこにあったあなたの街のTSUTAYAが潰れてしまったのはこういった背景があります。
実力があったり商品にネームバリューなどの影響力がある場合、自分の商品を売る場所に魚を大量に呼び込むというやり方も考えられます。
ジブリの『もののけ姫』がヒットした理由の一角も『魚の多いところで釣りをせよ』に当てはまります。
もののけ姫という作品の内容が素晴らしいことはもちろんのことだけど、もののけ姫がヒットした理由はプロデューサーの鈴木敏夫さんが『いかに多くの映画館で上映させるか』にこだわり抜いたことが大きいです。
もののけ姫のメイキングビデオ『もののけ姫はこうして生まれた』ではプロデューサーの鈴木敏夫さんが
と語っています。
天才、宮崎駿がはじめて引退をかけてつくりあげた作品である『もののけ姫』は間違いなく名作です。けれども仮に、あり得ない話だけど上映映画館数が10件とかだったらヒットしたでしょうか?かなり難しかっただろうと思われます。
本質2.常に顧客の要求を優先せよ(卓越論)
なぜ自分よりも顧客の要求を優先する必要があるのでしょうか。
売り手よりも顧客のほうが偉いから?それとも道徳的に正しいから?
それらはモノを売る上で本質的な答えではありません。
顧客の要求を優先する本質的な目的は、顧客からの『信頼』を獲得することです。
何かしらネットで買う時はAmazonを利用する人が多いのではないでしょうか?
Q. なぜAmazonを利用するのでしょうか?
A. 答えは簡単であなたはAmazonを『信頼』しているからです
はじめてネットで買い物をしたときのことを覚えていますか?
クレジットカード番号や住所を登録するのが不安じゃなかったでしょうか?
ちゃんと商品が届くか、本当に届くまで疑心暗鬼だったじゃないでしょうか?
しかし今では1ミリも疑うことなく、欲しいと思ったものを購入する気になったら即座にポチれます。
Amazonは昔も今もAmazonです。変わったのは『あなた』です。あなたがどれだけAmazonを『信頼』しているのかが違う点です。
Amazonはあなたから『信頼』を勝ち得たことによってあなたから何回も注文を受けることに成功しています。
では『信頼』はどのようにして勝ち得るのでしょうか?
それは『有言実行』と『良い意味での裏切り』の組み合わせです。
有言実行とはこの場合だと約束したことをしっかり実行するということです。
あなたがAmazonで注文した商品はしっかりとあなたの手元に届きます。
何回かこれらのやりとりを経験していく上で、顧客は売り手に対して『しっかり約束を守ってくれるいい売り手だな』と安心することで信頼するようになります。
次に『良い意味での裏切り』です。
これは顧客の想像を上回るサービスを提供すると言うことです。
例えばAmazonであればプライム会員になればサービスが該当する商品であれば注文してから翌日には手元に届きます。
今となっては当たり前になってしまいましたが、このサービスが始まるまではネットで注文した商品が次の日には届くなんて考えられもしなかったことです。
このような『良い意味での裏切り』を繰り返し、さらに『有言実行』を固く守ることでAmazonは顧客から絶対的な信頼を勝ち得ました。
これが【卓越論】です。
本質3.常にブレイクスルーを目指せ
商品の単価をあげてもクライアントが購入してくれる=商品が高くても買ってもらえるだけの強みがある=ブレイクスルーによって競合と比べ圧倒的に有利な立場を獲得している
Netflixを例にとって説明します。
Netflixはアカウント情報から顧客ひとりひとりの好みに関する膨大なデータを蓄積し分析しています。
その結果、顧客が好きな俳優が出ているタイトルをオススメに表示させるだけでなく、サムネ画像の構成さえ変えます。顧客が好きな俳優がメインの役割ではなくても、一番大きく、中央に表示させるようにサムネを組み替えるのです。
極め付けはストーリー展開です。
終わりよければ全て良しではないですけど、ドラマやアニメと言ったエンタメ作品は、絶頂時にどうだったかと、特に終わり方がどうだったかの2点が視聴者の満足度に影響を与えます。ピーク・エンドの法則と呼ばれているヤツです。
これは、コンテンツを視聴し終わったあとの顧客満足度に直結します。ドラマやアニメをすごく好きになり、毎回楽しみに視聴していたのに、最終回が納得できない終わり方で作品そのものが嫌いになってしまった経験はないですか?
Netflixの独自コンテンツは顧客の好みに合わせて視聴者が結末を選択できるマルチエンディングを用意しています。
Netflixのアルゴリズムが、あなたがハッピーエンドが好きなタイプだと判断したのなら、あなたの視聴しているドラマシリーズの最終回をハッピーエンドで終わらせる準備ができているということです。要は本来の脚本とは別のエンディングがいくつも用意されてるということです。
正式には『インタラクティブムービー』というようですね。『インタラクティブ(Interactive)』には『相互作用』という意味です。作り手と視聴者の双方向にやり取りができるという意味合いからこの名前がついています。
これらの他に類を見ない卓越したサービスは明らかに業界のブレイクスルーです。
このブレイクスルーにより、売り手はちょっとやそっとでは自分のサービスから離れない買い手を得ることができます。この段階までくるともはや買い手というよりは『ファン』や『フォロワー』に違い感覚かもしれません。
自分にとって質の高いサービスを提供され続けた顧客は、そのサービスなしでの生活が考えられなくなります。ここまで『信頼』を勝ち得た段階で、企業は『値上げ』を実施します。顧客単価を上げることで利益を増大させることが目的です。
2021年2月5日。Netflixは月額料金を値上げしました。
ベーシックプランは従来の880円から990円に、スダンダードプランは1,320円から1,490円への値上げです。値上げによりサービスの継続利用をやめてしまう顧客もいますが、売り手にとってそんなことは百も承知です。
値上げによる脱落率をあらかじめ考慮したうえで、それでも利益が最大限に伸びる限界値までサービスの値段はあがります。これからも上がり続けます。
私はなるべくサブスクリプションサービス(定額サービス)を使わないように心がけています。スマホの通信費や車の任意保険などは必要なのでどうしても利用しなければいけませんが、例えばNetflixのような『必要ではなけいどあったら便利』なものはひとつも利用していません。
定額で利用できるサービスを利用し続けている理由はただひとつ。『金額よりもおトクだと感じるから』ですよね。
今ですら素晴らしいと思えるサービスは、今後も売り手によるブレイクスルーによってどんどん改良されていくでしょう。しかしその反面、ブレイクスルーが起きるにつれて利用料が値上げになる確率は非常に高いです。
このスパイラルにハマり込んだら、後になればなるほど抜け出すことが困難になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。何かモノを売るときの極意として、名著『ハイパワーマーケティング』から3つの項目を紹介させていただきました。
おさらいになりますが3つ項目とは『ビジネス=顧客数×購入頻度×商品単価』のことでしたね。
『ビジネス=顧客数×購入頻度×商品単価』は売り手だけではなく買い手としても『使える』知識またはスキルですね。この記事を書いていて改めて気づくことができました。
消費者として、いま自分は『ビジネス=顧客数×購入頻度×商品単価』のなかでどの項目の数値を伸ばすように仕掛けられているのかが分かれば、冷静に状況を分析して本当に必要なモノではないサービスを買わないと判断することができるかもしれません。
『ハイパワーマーケティング』は今回紹介した本質3選以外にも『使える』マーケティングスキルが満載です。ご興味のある方はぜひ手に取って読んでみてください。
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