ひとつでも当てはまる方は誰でもできる「あること」を生活に取り入れるだけで劇的に改善できるかもしれません。その「あること」ことこそが、ズバリ「16時間断食」です。
今回の記事は「空腹」こそ最強のクスリという本の紹介です。
私はこの本を読んで1日16時間何も食べない時間を設ける「半日断食」はじめました。
半日断食は私にとても合っていて、「眠くなる」「疲れやすい」「気分の変化」と言った不調だけでなく、「時間とお金」を大幅に節約できるというメリットも享受できています。しかも体重があっという間に1カ月で3㎏も落ちました。
人は食べたものを消化してエネルギーに変換し生きています。食べるということは生きることそのものです。
「そんなことは言われなくてもわかってるよ」という声が聞こえてきそうです。だからこそ、世間には健康食品が数多く存在して、人々は「何をどれだけ食べればよいのか」に気を使います。
しかし『「空腹」こそ最強のクスリ』では、何を食べるのかではなく「食べない時間を増やす」ことが重要であるということを主張しています。
本を開くとすぐに目に入る背表紙にはなかなかインパクトのある言葉が並べられています。
最新医学エビデンスに基づく本当に正しい食事法は、「何を食べるか」ではなく「食べない時間を増やす」たったこれだけだった。
睡眠時間を合わせて「1日16時間は食べない」だけ。この半日断食で細胞内の悪いタンパク質や感染症を引き起こす病原菌が掃除され、全身の細胞がみるみる修復!
空腹パワーであらゆる不調を撃退しよう!
引用『「空腹」は最強のクスリ』背表紙より
この記事の概要
○16時間半日断食が体に良い理由と驚くべき効果
○16時間半日断食の始め方と注意点
○16時間半日断食を1カ月やってみた体験談
書籍の作者について
作者は医学博士の青木厚さんです。さいたま市に自身の運営するクリニックを開設していています。糖尿病、高血圧、脂質異常症など生活習慣病が専門です。糖尿病患者の治療に「半日断食」の食事法を取り家れてクスリを使わない治療に成功するなど成果を上げています。
私はこれまで、一人の医師として「断食」に関する様々な論文を読み、また血糖値のコントロールに苦しんでいる糖尿病の患者さんたちの治療にあたってきました。さらに自分自身でも「断食」を実践し、効果を注意深く観察し、どうすれば「空腹」の効果を最大限に享受できるのかを考えてきました。
引用:『「空腹」は最強のクスリ p81-82
このように、作者の青木さんは生活習慣病の患者を治療する専門の医師であり、治療法に半日断食を取り入れて効果を実証しています。様々な書籍や論文を読み漁り、糖尿病をはじめとする、生活習慣病の患者さんたちの治療を通して得た経験や知識なども踏まえて、「どのような食事の仕方であれば、もっと無理なく、ストレスなく、病気を遠ざけることができるか」を真剣に考えてきた方です。
なぜ半日断食(16時間)が体に良いのか
なぜ半日断食が体に良いのでしょうか。いきなり結論をお伝えすると「空腹」によって体内で「オートファジー」という機能のスイッチがオンになり、細胞内の悪いタンパク質や感染症を引き起こす病原菌が掃除され、全身の細胞がみるみる修復されるからです。
はい、いきなり「オートファジー」とか言われてもよくわかりませんよね。半日断食の良さはこのオートファジーにすべて詰まっています。早速オートファジーとは何ぞやということについて解説します。
オートファジーとは
私たちの体は、約60兆個もの細胞でできており、細胞は主にタンパク質で作られています。日々の生活の中で古くなったり壊れたりしたタンパク質の多くは体外に排出されますが、排出されきれなかったものは細胞内にたまっていき、細胞を衰えさせ、さまざまな体の不調や病気の原因になります。
一方で私たちは、食べ物から栄養を摂取して必要なたんぱく質を作っています。
ところが、何らかの原因で栄養が入ってこなくなると、体は生存するために、なんとか「体内にあるもの」でタンパク質を作ろうとします。
そこで、古くなったり壊れたりした、細胞内のたんぱく質を集め、分解し、それらをもとに新しいたんぱく質を作るのです。
引用『「空腹」は最強のクスリ p84
この「外から栄養が入ってこないことによる体内にあるもので何とかタンパク質を作ろうとすること」がオートファジーです。つまり、オートファジーは古くなった細胞を、内側から新しく生まれ変わらせる仕組みです。
細胞が生まれ変われば、体にとって不要なものや老廃物が一掃され、細胞や組織、器官の機能が活性化し、病気になりにくく若々しい体になります。食べ過ぎによって必要以上に栄養を摂取してしまっている方がオートファジーを発生させる食習慣に切り替えると、まず間違いなく体重が落ちます。
こんな素晴らしいオートファジーですが、スイッチを入れるためにたった一つのシンプルな条件があります。
「最後にものを食べてから16時間ほど経過しなければオートファジーのスイッチが入らない」のです。
なぜならオートファジーは体や細胞が強いストレスを受けた際にも生き残れるよう、体内に組み込まれた生存戦略システムだからです。細胞が飢餓状態になったときや低酸素状態になった時にこそ、働きが活発化する機能なんです。
つまり、空腹の時間を作らない限り、オートファジーによって細胞を生まれ変わらせることはできません。
半日断食の最大の目的は、この「オートファジー」のスイッチを入れることです。だから著者の青木さんは「16時間」何も食べないという半日断食をオススメめしています。
半日断食が16時間と聞いて「いやいや1日は24時間なんだから半日断食なら12時間でしょう」とツッコミたくなる気持ちは分かります。ただ、断食の目的が16時間何も食べないとスイッチがはいるオートファジーの機能を働かせることだと理解できていれば、16時間という数字にも納得できるはずです。
しかも、この16時間という何も食べない時間は睡眠時間を含めてもOKなんです。
例えば1日8時間寝る人なら、寝る時間の前後であと8時間何も食べなければ16時間の半日断食が達成できます。例えば夜8時に夕食を食べ終わって夜10時に寝るとしましょう。8時間睡眠で起きるのは朝の6時ですね。あと6時間何も食べなければいいので、朝食を摂らず、お昼の12時まで何も食べなければ合計16時間の空腹期間達成です。
16時間半日断食の驚くべき効果
オートファジーの説明でも触れましたが、半日断食(16時間)によって体にもともとそなわっている自己修復機能を最大限に活用することができます。いいかれば「体のリセット効果」が期待できます。
ざっと上げるだけでもこれだけの効果が期待できます。
- 食べ過ぎによって消化に大量のエネルギーを費やしている内臓の疲れが取れる
- 血糖値が下がり糖尿病になってしまうリスクが減る
- 脂肪が分解され、肥満が引き起こす様々な問題が改善される
- 細胞が生まれ変わり、体の不調や廊下の進行が改善される
本書の裏表紙には魅力的な様々な効果が提示されています
こんな人はぜひ試してみてください!
- 血圧、血糖値、コレステロール値を正常に戻したい
- 薬を使わず、がん・認知症・糖尿病を予防改善したい
- アレルギーや花粉症からラクになりたい
- 慢性的な疲れやダルさを解消したい
- 集中力を付けて仕事のパフォーマンスを上げたい
- 肌荒れ、便秘、生理不順を改善したい
- おいしく食べながら、ダイエットを成功させたい
引用『「空腹」に効くクスリ』裏表紙より
これだけのことを成し遂げるには、足しげく名医のいる病院に通ったり、体にはよさそうだけど好きでもない健康食品を頑張って食べたり、ジムに入会したり、健康器具を買ったり、運動の習慣を身に着けたり・・・。時間とお金がいくらあっても足りない!と思ってしまうかもしれません。
しかし、1日16時間何も食べないという半日断食を習慣にして、オートファジーによる「体のリセット」を計画的に実行することで色んなメリットを享受できる可能性があります。
16時間半日断食の始め方
オートファジーを働かせるためには、連続して16時間の何も食べない時間が必要ですが、睡眠時間を組み込めば無理なく実行できます。人によっては、睡眠時間を組み込まないほうが16時間断食をやりやすいという生活スタイルの方もいるかもしれません。
ご自身にあった16時間の何も食べない時間を確保するスタイルを検討してみてください。
ちなみに空腹期間中は、もちろん水分をとって大丈夫です、慣れないうちは、ナッツ、ヨーグルト、チーズ(パンや肉のようなカタマリではないもの)なんかを食べてもいいと書いてありました。
ただ、最終的には、糖分の入っていない水やお茶のみを口にするだけで16時間の半日断食を達成できる毎日を目指したいです。
「仕事のつきあいが多くて平日に長時間、ものを食べない時間を作るのが難しい」というかたもいるかと思います。16時間半日断食をはじめたばかりの人であれば、「仕事中、どうしても空腹がきになってしまう」ということもあるかもしれません。
そんな方にはまずは休日だけ「ものを食べない16時間」を作ることをオススメします。
「毎日じゃなくて休みの日だけでもホントにいいの?」と思うかもしれませんが、医学博士の作者の青木さんは「一週間でたまった、食べ過ぎなどによって体が受けたダメージを休日にリセットできる効果が期待できます。」と言っています。
『「空腹」は最強のクスリ』を読んでいて全編通して感じることは、作者の青木さんがとにかく優しいということです、科学的な根拠に基づく客観性のある信頼性の高い情報を提示しつつ、最終的には「無理せず、できる範囲で、長く続けるほうが大事」だということを語りかけてくれます。
北風と太陽の話なら完全に太陽です。読んでいると自然と「16時間も何も食べないのって大変なんじゃない?」という気持ちから「青木さんが励ましてくれるから頑張れそう」という前向きな気持ちになれます。
さらに青木さんは平日に16時間の半日断食ができている人は、休日に24時間ものを食べない1日断食にチャレンジすることをオススメされています。
オートファジーの機能がオンになるのは、ものを食べない時間がだいたい16時間に達したときです。空腹の時間が長ければ長いほど、脂肪の分解が進んでオートファジーもより活性化するとのことです。
本書の情報ではないですが、1日1食を公言している50代、60代、70代でも若々しく活躍されている有名人がたくさんいます。タモリ、ビートたけし、福山雅治、TMレボリューションの西川貴教、オバマ元大統領、ビルゲイツ・・・みなさん共通していることは実年齢よりも若く見えて、第一線っでエネルギッシュに活躍しているという点です。
ただ、意外と楽だからと言って決して24時間を超えるものを食べない時間は作らないで下さい。24時間ものを食べないことは、体への負担が大きく、個人の判断で行うのは危険とのことです。どうしてもチャレンジしたい人は必ず医師の指示の下で行うようにしましょう。
16時間半日断食の注意点
古くなった細胞を、内側から新しく生まれ変わらせることができるオートファジー。その機能をオンにする条件はたったひとつ。それは「16時間の何も食べないこと」。
16時間断食は慣れてくると全然つらくないので「こんな簡単なことでめちゃくちゃ色んな体に良い効果が得られて最高だなぁ」と思えてきます。
何でもかんでも16時間の半日断食で解決できそうな気すらしてきますが、もちろんそんなことはありません。場合によっては16時間の半日断食でオートファジーの機能が働くことで、からだにとって良くない効果を発生させてしまう場合があります。
ひとつずつ解説する前にお伝えしたい一番重要なポイントがあります。それは「空腹の時間を作る食事療法は、あくまでも予防のためであり、すでにがんや認知症を発症している方は、逆効果になるケースがある」ということです。
がんや認知症がすでに発生してしまっている場合、オートファジーによる再生機能が逆効果に働いてしまうケースがあるようです。
すでにがん(悪性腫瘍)が発生している場合
がん細胞には飢餓状態に陥りやすいという特徴があるため、治療においてはしばしば、がん細胞に栄養が送られないようにする手法が用いられます。
ところが16時間なにもたべないことによってオートファジーの機能が働くと肉体は古い細胞から自分で栄養を作りはじめます。この効果によってがん細胞にも栄養が届けれられ、がん細胞が生き残りやすくなってしまうとのことです。
「空腹の時間を作る」食事法はあくまでも予防のためのものです。
すでに認知症が発症している場合
がんと同様、認知症についてもすでに発症している場合にはオートファジーが逆効果になってしまう可能性があるとのことです。
2015年に東京医科歯科大学が発表した研究結果では、アルツハイマー型認知症を発症している場合、オートファジーが脳内のアミロイドβ(タンパク質の一種で脳に蓄積することで神経細胞が減少、記憶をつかさどる海馬を中心に脳を委縮させてしまう効果がある)を増やして、症状を悪化させる可能性が示唆されています。
がんを発症しているケースと同じく、認知症に関しても「空腹の時間を作る」食事法はあくまでも予防のためのものです。
すでに糖尿病、血糖値異常の場合
すでに糖尿病の方、血糖値が高い方、持病を持っている方は要注意です。半日断食を実行する場合は医師と相談してください。
半日断食のスタンダードは朝食を抜いて昼食と夕食の1日2食ですが、このように朝食を抜く場合はいきなり抜かずに、朝食の量を半分にして1カ月くらいかけて減らしていってください。
食べる量と栄養バランスの注意点
『「空腹」は最強のクスリ』では16時間なにも食べない時間以外の、食べてもいい時間には「何をどれだけ食べてもいい」と書かれています。
これは作者の青木さんが、一人でも多くのひとにとにかくオートファジーの機能をオンにしてもらいたいという願いから生み出された悩ましいフレーズだったのではないかと思います。
いくら16時間断食を実行してオートファジーの機能をオンにしたからと言って、体に悪いものを大量に食べれば、体にとって良くない影響があることは誰だって分かります。
糖質が多く含まれる清涼飲料水やお菓子は避けたほうがいいことは当たり前ですし、食品添加物や炭水化物が多く含まれるジャンクフードも避けたほうが良いです。
かたよった栄養バランスの食事を続けていると、高血圧、高血糖、肥満、痩せすぎ、胃腸の炎症、免疫力低下といった様々な不調を引き起こしてしまう可能性があります。
「バランスの取れた健康的な食事を腹八分目でとる」ことも「オートファジー」の機能を働かせることと同じくらい重要です。
筋力低下に対する注意点
16時間半日断食のデメリットは筋力が落ちてしまうことです。この食事法を実行する際には、必ず簡単な筋トレを並行して行いましょう。
空腹の時間を作ると、自然と1日の総摂取カロリーが減り、体重も減量します。その際もちろん内臓脂肪が分解されますが、同時に筋肉も落ちてしまいます。
というのも、外部からエネルギー(食べ物)が入ってこなくなるとオートファジーによって体内にある材料でエネルギーを作り出しますが、脂肪だけでなく筋肉も燃やしてエネルギーに変えようとするからです。
筋肉量が低下すると、基礎代謝が減り、かえって太りやすい体質になります。特に高齢の方は体を支えるのも難しくなってしまう可能性があります。
筋力の低下を防ぐために筋トレを実施しましょう。ジムに通ったり、専用の器具を買わなくてもOKです。いわゆる自重トレーニングと呼ばれる「腕立て伏せ」や「スクワット」や「腹筋」をできる回数だけ無理のない範囲でやりましょう。
階段の上り下りも立派な筋トレです。エスカレーターやエレベーターで移動したいなぁと思ったときは筋トレのチャンスです!無理のない範囲で、できるだけ階段で上り下りするようにしましょう。
16時間半日断食を1カ月やってみた体験談
わたしは2021年の9月から16時間の半日断食を実施しています。一時期、短期間で10キロ以上太ってしまって何とか元の体系に戻そうとカロリー計算を始めたこともあり、朝食と昼食は食べ過ぎないことを心掛けていたので、半日断食を実施するにあたり朝食を完全に抜くことはそれほど大変ではありませんでした。
オートファジーによる効果はかなり実感しています。まず睡眠時間が短くなりました。これは1日3回食事をしていたことによる消化エネルギーを節約することで内臓が疲れなくなったからだと思います。
前は1日7~8時間寝ないと本調子がでなかったのですが、最近は6時間も寝ればスパッと目覚めることができます。日中眠くなることもありません。
日中眠くなることがないと書きましたが、加えて集中力もアップしました。朝食をたべないので血糖値の乱高下が発生しないで脳の栄養源であるブドウ糖を一定に保つことができていることが要因かと思います。
いまこの記事を書いている時点で約1カ月間16時間断食生活を続けていますが、1カ月で体重が3kgくらい落ちました。ちなみに私は10kg以上体重が増えてしまってからカロリー制限や自転車通勤などによって既に適正体重に戻した後に16時間断食を始めたので、適正体重からさらに3kg減量したことになります。
すでに適正値よりも大幅に体重が多くなってしまっている肥満にお悩みの方や、最近体重が増えてきたからなんとかしたいな・・・と思っている方の場合は、16時間断食によって3㎏程度ではなくもっと体重が落ちるのではないかと思います。もちろん個人差はあるとは思いますが。
あと最後に、血がきれいになってサラサラになりました!なんでこんなことが書けるのかというと、最近ちょっと手を擦ってしまうケガをしてしまったことで、流れ出る自分の血を見る機会があったからです。
とはいえ傷は小さく、たらーっと少しだけ血が流れる程度でしたが、血の色が明らかに今までよりもキレイなことに驚きました。健康診断の採決とかで自分の血の色を見る機会があるたびに、「赤というよりは黒にちかいな・・・」と毎回思ってました。しかし今回のの擦り傷から出てきた値は明らかに「赤色」でした。
これだけで血がキレイになってサラサラになったとは言えないかもしれませんが、個人的に印象に残ったので書いてみました。
まとめ
16時間の半日断食によって体にもともと備わっている「細胞のリセット機能」をオンにすることで、肥満、高血糖、高血圧といった生活習慣病の原因を予防することができます。
といった慢性的な不調を解消できる可能性があります。
16時間の断食は睡眠時間を含めてもOKです。最もスタンダードなやりかたは、朝食を抜いて16時間ものを食べない時間を作る方法です。
平日は16時間ものを食べない時間を設けるのが難しい人は休日だけトライしてもオートファジーの効果を得られます。
24時間以上の断食は体に負担が大きいので、チャレンジしたい人は医師の指導に従ってください。
「空腹の時間を作る食事療法は、あくまでも予防のためであり、すでにがんや認知症を発症している方は、逆効果になるケースがある」ことにご注意ください。
オートファジーは脂肪と一緒に筋肉も燃やしてエネルギーに変えます。16時間半日断食と一緒に簡単な筋トレも並行して実施してください。
一カ月やってみた結果、無理せず3キロ減量、睡眠時間短縮、日中の眠気ゼロ、集中力アップ、血がきれいになる。といった効果が実感できました。私はこれから先も16時間の半日断食による食生活スタイルを続けていきます。
今回参考にした書籍
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