出世のメリットとデメリットを比較!なぜ若者は出世したがらないのか?

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出世のメリットとデメリットを分析しました。ついで、になぜ「出世したくない」と考える若者が増えてきているのかということについて掘り下げて考えてみました。

若者が出世したくない理由について結論だけ先に述べておきますと、出世すると社会的責任が重くなるからでしょう。または、出世することによって得られるメリットである「年収アップ」や「仕事の自由度」にたいして、デメリットである「責任の重さ」を避けたいという心理が働いていることが大きな原因かと思います。

ひと昔前までは、企業に勤めているのであればより高いポストを目標として出世することを目指すのが当たりまえでした。しかしここ最近では特に若い人たちの間で「出世したくない」と考える人たちも増えてきています。

-20代30代の出世意欲とその背景要因に関するアンケート調査結果-

引用:20代30代の出世意欲とその背景要因に関するアンケート調査結果/PR TIMES

ちなみに私は転職を3回経験しており、現在は業界でトップのシェアを誇る外資系企業の日本支部で主任と係長の間のような特殊なポジションを5年ほど経験しています。

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出世のメリット

  • 給料が上がる
  • 重要な情報にアクセスしやすくなる
  • 部下に指示ができる
  • 関係部門と連携して仕事ができる
  • 仕事の時間と量をコントロールしやすくなる

出世のデメリット

  • 責任が増える割に、給料が大して上がらないこともある
  • 法令順守やハラスメントに縛られる
  • 部下ミスは自動的に自分のミスになる
  • 政治的なバランス感覚が求められる
  • 長時間労働におちいりやすくなる

比較のカギは「年収」と「責任」

出世することによるメリットとデメリットをリストアップしてみましたが、本質的な部分を抜き出すと「年収」と「責任」の2点に集約するのではないのでしょうか。

出世すれば「年収」が上がります、しかしポジションが上があがれば上がるほど「責任」も増えていきます。昔はこの「年収」と「責任」のバランスが取れていたから出世したいと思うことが当たり前だったのではないでしょうか。

しかしながら現代では、ワークライフバランスという言葉が一般的になってからしばらくたったこともあり、働き方に対する価値観はどんどん変わってきています。同時にコンプライアンス(法令順守)に関する意識も高まってきていています。セクハラやパワハラと言われるいわゆる〇〇ハラスメントに関する報告は統計的には年々増えているようです。これは、〇〇ハラスメントが発生している件数が増えたというよりは、過去にはハラスメントとして認識されていなかった行為が現代では「これって〇〇ハラスメントなんじゃないか?」と思いつきやすくなったとも言えます。

引用:データで見るハラスメント/あかるい職場応援団

多くの社員を監督する管理職は、そのうちの一人からでも「〇〇ハラスメントだ!」と声をあげられてしまうと、管理職としての立場を維持するためにものすごい時間と労力を注ぐことになります。場合によっては、降格、左遷、解雇の対象となるかもしれません。

管理職のポストにそんなリスクと精神的ストレスに見合う報酬が設定されていればよいかもしれませんが、給料アップの精神的満足度は年収800万円くらいで頭打ちになるようですので、部下を抱えるストレスを年収の高さで補うのには限界があります。

引用:年収800万円を超えると幸福度は上昇しなくなる/DIAMOND online

管理職が抱えるリスクに対して、一般社員が「〇〇ハラスメントだ!」ということを主張した場合のリスクはそこまで高くはないと言えます。一般社員なのでそれ以上ポストが下がることはありません、そもそも「〇〇ハラスメントだ!」と主張するくらいなので現状に相当不満を抱えている状態でしょう。特殊な仕事ではない限り、ポストについていなければそこまで年収も高くないはずです。「ハラスメント」を主張して結果的にその組織に居れない、または居づらくなってしまったとしても転職してしまえば済む話です。

こういった背景から、少数派ではありますがコンプライアンスとハラスメント主張を盾に、言いたいことはガンガン言いまくる一般社員が一定数は組織に存在するようになってきているといった印象を受けます。

現代社会での出世は「年収」<「責任」??

このように、現代では、出世することによって得られる主なメリットである「年収」の増加よりも、デメリットである「責任」の重さの比重ががかなり大きくなってきていると言えます。

「社員としての立場が低ければ低いほど、責任は軽い」のが現状と言えます。一般社員の「責任の軽さ」は時として「強さ」につながることもあります。

管理職と一般社員の関係をカードゲームでイメージすると分かりやすいかもしれません。管理職は部下に対して「業務上の命令」カードを使うことができますが「ハラスメント」カードを使ってもメリットがありません。自分の立場が不利になる結果にしか作用しないからです。対して一般社員は上司に「業務上の命令」カードは使えません。しかし「ハラスメント」カードはいつでも使用できます。「ハラスメント」カードの威力は絶大で、一般社員は立場を守りつつ管理職には大ダメージを与えることができます。

若者が出世したくない理由

若者が出世したくない理由は、出世すると社会的責任が重くなるからでしょう。または、出世することによって得られるメリットである「年収アップ」や「仕事の自由度」にたいして、デメリットである「責任の重さ」を避けたいという心理が働いていることが大きな原因かと思います。

簡単に言えば「出世は割に合わない」と冷静に判断しているということですね。

若い人たちは世間知らずで知識や教養がなく無責任だから出世したくないのではなく、冷静に状況を分析して自分の価値観と照らし合わせた結果「出世しない」という戦略をとっています。

「出世できない」のではなく「出世しない」のがポイントですね。ここがわかっていないと、部下や後輩に対して古い価値観を基準に過去の時代には通用した持論を延々と説教してしまう失態をおかしかねません。気を付けたいものです。

SDGs(持続的な開発目標)やダイバーシティ(多様性)といった世界的なトレンドからも分かるように、これから先の社会はこれまで以上にどんどん「変化」していきます。ダーウィンの進化論からも分かるように、生き残れるのは「強い」個体はなく「変化」に対応してくことができる個体です。

自分が理解できない価値観と遭遇したときは「あ、この考え方ムリ」とシャットアウトしてしまうのではなく、新しい価値観を理解するためのチャンスだととらえると「自分が変化」するきっかけになるかもしれません。

若者を理解するために役に立つ書籍

後輩や世間の若い人たちといったような「いわゆる若者たち」の価値観を理解するためには書籍がオススメです。若い人たちから彼らの考え方や価値観を直接おしえてもらうのはかなりハードルが高いと言えます。

若いとはいえ無限に時間が余っているわけではありません。若いひとたちも、どんな世代の人とも同様に自分のことで精いっぱいです。年上のメンドクサイ先輩や上司に自分の考え方や価値観をわざわざ言語化して分かりやすく伝えることに時間を割くくらいなら、趣味や友人や恋愛といったような自分の好きなことに1秒でも多くの時間を使いたいと思っています。

そこで書籍です。20代や30代前半で若くして成功をおさめている人はたくさんいます。そんな人たちが満を持して書き上げる本には、日々ネットで発信している内容と比べ、余分な情報がそぎ落とされていて考え方や経験の「本質」が書き記されていることが多いです。

私が読んだ本の中でも、若者たちが持つ共通の価値観の本質をしっかりとらえている!と思えるような本をいくつか紹介させていただきます。

あやうく一生懸命生きるところだった

留年しまくっていい大学に入っても全然「幸せ」になれなかった筆者がたどりついた人生哲学は一読の価値ありです。私たちの人生の目的は勝つことではなくて、幸せになることです。


億を稼ぐ積み上げ力

アラサーで2億円の資産と1億円の年収を達成した有名ブロガーとして有名なマナブさんの成功哲学が凝縮された1冊です。若い人たちの間で一定の支持がある「個人で稼ぐ」ということについて、いったいどういう考え方や価値観がベースになっているのかを知ることができます。


転職と副業のかけ算

これからの時代は「組織」に忠誠を尽くすのではなく「個人」のスキルを磨いていくことが重要だということをこれでもかというくらい分からせてくれる1冊です。


ここからは、年配者の目線から「若者たちの価値観」をフラットな目線で受け入れるのに役立つ書籍の紹介です。

嫌われる勇気

言わずと知れた超有名なベストセラー本です。老いた哲学者と自分を取り巻く環境が受け入れられない若者が会話を通してお互いを理解していくという構成になっていてとても読みやすいです。読むたびに「変わる」ことの重要性を再確認することができます。

年上の義務

ズバリ年上の義務は「威張らない」「愚痴らない」「ご機嫌でいる」・・・このみっつの本質的な部分はつまるところ「自分の価値観を押し付けない」ということなのかなと思います。この主張は著者の主観によるものだけでなく、1960年あたりから現代までに起こった社会の変容をベースにしている点が面白いです。

評価経済社会

ネットが発達する前までは貨幣を仲介して「モノ」や「サービス」が交換される社会がメインでした。しかし今は「評価」と「影響」をお互いに交換し合う評価経済社会の時代です。この、貨幣経済社会から評価経済社会への変化を理解することは、そのまま若者たちの価値観を理解することにつながります。

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