この記事の概要
・『人を動かす』の内容を理解することで得られるメリット
人を動かすとは
『人を動かす』は出版から80年近く経った今でも世界中で売れ続ける、ビジネスパーソン必読書とも呼ばれる名著です。著者のデール・ブレッケンリッジ・カーネギーは、アメリカの作家で教師にして、自己啓発、セールス、企業トレーニング、スピーチおよび対人スキルに関する各種コースの開発者です。
『人を動かす』では様々な実例が出てきます。とはいえ、いくら名著とはいえ出版から80年近く経っているので、『人を動かす』で紹介されている事例の数々は、現代に生きる自分の人生とかけ離れすぎていている印象を受けます。
たしかに「おぉっ」と思うような歴史的なエピソードが多いのですが、じゃあ自分はどうすればいいんだ?というところまで落としこもうとすると「いや、俺は別に1900年代初期のアメリカで大成功することを目指してるわけじゃないしな・・・」といった具合に、ブレーキがかかってしまいます。
雑学として勉強にはなるけど、自分の生活に落とし込むことがむずかしいんです。
名だたる偉人たちのエピソードが何十個も出てくるので、結局何を言いたかったのか自分なりに解釈しないと消化不良になりがちです。
人を動かすための3つの本質
『人を動かす』で著者が伝えようとしていることはとてもシンプルです。それは以下の3点です。
・相手を立てて否定(批判)は絶対にしない
・褒める(相手を知り相手が求めているものを与える)
本質1.自分に足りないものを受け入れる
エピソード:鉄鋼王 アンドリュー・カーネギーの墓石
こんな偉大な人の墓にはある意外な言葉が彫られています。
「己より優れた者を周りに集めた者、ここに眠る」
実業家として大成功をおさめ、晩節を汚すことなく慈善活動に精を出したカーネギーは決して自分の成功が自分の実力によるものだとうぬぼれませんでした。
どんな時でも常に、自分の活動や成功は己より優れたものが私を支えてくれたからだ。と自覚していたのでしょう。ちょっと斜に構えると、周りにそう思ってもらうように常にそのように振る舞っていたとも解釈できます。
何でもかんでも自分でやろうとせずに、自分より優れた人に自分の為に動いてもらうためにはどうしたらよいかを考え抜いた結果が鉄鋼王 アンドリュー・カーネギーの人生を成功させたのだと思うと感慨深いです。
本質2.相手を立てて否定(批判)は絶対にしない
エピソード:第16代大統領エイブラハム・リンカーンの決闘
第16代アメリカ合衆国大統領に就任したリンカーンは若いころに人を批判することでのし上がろうとした時期がありました。新聞に相手を批判する内容の挑発的な手紙を掲載させたのです。相手はこの記事を挑戦と受け取って「釈明」を要求し【決闘】することになってしまいました。
時代が時代なので当時の【決闘】は相手を殺してしまってもOKな本当の決闘です。もちろんリンカーンはそんなつもりで相手を批判したのではありません。ただただ相手の評判を下げることで自分が成功するために手段として新聞を使っただけのつもりでした。
結局、仲裁者が現れたために決闘は行われませんでした。リンカーンは相手を批判することの恐ろしさを身をもって体験しました。それ以降は相手を批判することによって屈辱を与えるようなことをしないと誓ったエピソードが紹介されています。
人は誰しも、自分の存在を認めてもらいたいと考えています。いわゆる承認欲求というやつです。それに対して「批判」をするという行為は、相手の存在そのものを否定することにつながります。
どんな理由であれ、相手を批判および否定はしないほうが良いです。もしもどうしても自分の意見を伝えたい場合は
「その件について、あなたはそう思うんですね。私は〇〇〇だと思います。」と伝えましょう。
まずは相手の意見を受け入れてから、あくまでも自分はこうだと思います。という点がポイントです。
あと、どうでもいいんですけど最近の教科書だとリンカーンはリンカンと表記されるようになったんですね。またひとつジェネレーションギャップが生まれたようです。
本質3.褒める(相手を知り相手が求めているものを与える)
本質1(自分に足りないものを受け入れる)と本質2(相手を立てて批判は絶対にしない)を順番に読んできてお分かりかと思いますが、人は誰しも完ぺきではなく、そのうえほかの人から認めてもらうことを求めています。
となれば後は簡単です。あなたがやればよいことはたったひとつ。それは
相手を褒めることです。
しかしむやみやたらに褒めてはいけません。例えば明らかに太っている人に向かって「スリムな体系ですねぇ」と言ったらそれは褒めているのではなくただのイヤミになってしまいます。直接的ではないまわりくどい「批判」や「否定」でしかありません。
相手を褒める時のポイントは「相手が求めているものを与える」ことです。
そして「相手が求めているもの」は人によって異なります。それもそのはず、人には生まれ持っての性質や努力して身に着けた能力がそれぞれ異なるからです。
だからこそ、まずは相手のことを知ることが重要になります。相手を知るには相手の話を聞く必要があります。
といったような言葉が現代も残り続けているのにはしっかりと理由があります。
『人を動かす』の内容を理解することで得られるメリット
ズバリ、自分の目的のために人に動いてもらえるようになります。
人は一人では生きていけません。そして人はそれぞれ得意とすることと苦手とすることがあります。このことからもわかるように、一人でできることには絶対に限界があります。
自分が成功するためには自分の不得意とするところを、相手の得意とするところで補ってもらう必要があります。そのためには『相手に、自分の為に動いてもらう』必要があります。
だから『人を動かす』のタイトルは、そのまま『人を動かす』なんです。
ただし、誰もが人を動かすような立場にならなければいけないのかというと、そうではないとも思います。
社会は階級によって成り立っています。会社一つを例にとってみても社長、取締役、部長、課長、係長、主任、平社員といったように立場によって役割が明確になっています。そして、立場が上のほうになればなるほど、人数は少なくなります。
何が言いたいのかというと、もしもあなたが「人に使われる立場」だった場合、名著『人を動かす』の本質を理解していれば、あなたを使う人が良いリーダーなのかそうでないのか見極めることができるということです。
『自分に足りないものをしっかりと把握して、他人を批判したり否定したりせず、チームメンバーのことをしっかり理解して褒める』ことができているリーダーのもとには良い協力者が集まります。そのチームは良い成果を上げる確率が高くなります。
他人は簡単に変わりません。もしもあなたを使う人が『人を動かす』本質を持ち合わせていなければ、あなたが『人を動かす』人になるか、そのチームから離れるかの2択しか道はありません。
どうしてもその人に変わってほしければ、この『人を動かす』をそっと手渡すのも一つの手かもしれません。
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