自分がうつかどうか疑問を持つようだったら『うつ』であると判断して向き合ったほうが良いです。なぜならうつはほっておくとどんどん悪化して、最悪のケースは死に至る病だからです。うつの症状が進めば進むほど、集中力や理解力が低下していくので『うつ』を理解して改善に向かうきっかけを得ることが難しくなります。
そんな『うつのトンネル』から抜け出すきっかけを与えてくれる『うつヌケ』という漫画の紹介記事です
この記事の概要
・うつヌケはどこから読んでもOK
・うつヌケは全編を通してうつの本質に向き合っている
1.まず漫画であることが最大のメリット
どんなに疲れていても面白い漫画なら読める。
といった経験はないでしょうか?
『うつヌケ』の最大の特徴は『漫画』だという点です。しかもただ漫画だというだけではなく『面白い漫画』です。
漫画なので文章だけの本よりもよっぽど読むことに抵抗が少ないです。そもそも鬱症状に悩まされている人は文章を集中して読むことが困難な場合が多いです。その点、漫画なら読書の1/100くらいの集中力でも読むことができます。
タイトルも極力柔らかい表現を使うようにひらがなとカタカナで『うつヌケ』です。『鬱抜け』と書くこともできますがあえて柔らかい表現を使っている点からも、まず本を手に取って開いてみるまでのハードルを少しでも下げようとする作り手の心づかいがうかがえます。
2.どこから読んでもOKなオムニバス形式
うつヌケは各話独立のオムニバス形式で全20話という構成です。
各話独立しているのでどの話から読んでもOKです。さっき1話だけ読み返してみたんですけど3分もかかりませんでした。
各話独立しているとはいえ、話の流れは同じです。本人もうつヌケ経験者である作者が聞き手として登場し、同じくうつヌケであるゲストを呼んでどうやってうつを克服したか話を聞いていくという展開です。
漫画家、教師、雑誌の編集者、そしてミュージシャンの大槻ケンヂ、などなど、いろんな人のエピソードがあるから共感できるケースをを見つけやすいです。
他にも自分の症状と違うけれどうつに悩んでいる人がいることを知ることで客観的に自分を見つめ直すきっかけになります。
3.全編を通して理屈の筋が通っている
うつヌケはいろんな人のケースを紹介するオムニバス形式なので色々なエピソードがあります。
『仕事を休む』ことでうつが改善したケースと『仕事が支えになって』うつが改善したケースが混在しています。一見『うつヌケ』全体を通すとスジが通っていないように感じるかもしれませんがそうではありません。
なぜなら『うつヌケ』という作品は仕事を休むことが大事なのかさらに打ち込むことが大事なのかという表面的な部分ではなくもっと本質的な部分にまで踏み込んでいるからです。
本質的な部分というのは以下の2点です。
・うつの対処は自分のことを肯定すること
仕事が原因で自分のことが嫌いになってしまった人はうつを改善するために仕事から離れるべきだし、仕事をすることが自分を肯定することにつながる人は仕事に精を出したほうが良いということです。
『うつヌケ』はこの本質から絶対にぶれることがありません。この点については20話の『総まとめ』でキレイにまとめられています。私が『うつヌケ』を人に勧める時は、まず20話を読んでみることをオススメしています。
結局は自分を嫌いになることがウツの始まりであること、そして鬱になるのは自分が原因でなく外的要因が原因であることが力説されています。
とことん読み手にたいしてやさしい本なんです。
おまけ.うつ症状体験談
かくいう私もじつは『うつヌケ』です。
うつになってそこから抜け出したいきさつは別の記事に書いていますのでもしも興味があったら読んでください。
ここで紹介するのは、私がうつだったときの症状です。なぜいまになってこんなに羅列できるのかというとうつ当時にスマホのメモに書き連ねていたからです。
今回の記事を書くにあたって、そういえばそんなメモがあったような・・・。と探してみたらやっぱりあったから公開します。
なぜ公開するのかというと、もしこれを読んでいるあなたが、少しでも当てはまるなら
「もしかして自分はうつかもしれない」
と気づいてもらいたいからです。
そもそもこのような内容の記事をここまで読んでいただいたということは『うつ』にたいして多少なりとも興味があるということかと思います。
身近な方を支えてあげたいがために『うつ』について調べているのであれば問題はありません。
しかし、もしもこの記事を読んでくださっているご本人が『うつ』に悩まされているのであれば、少しでもお力になれればと思います。
少しでも当てはまったら
・身近な人に相談
・心療内科に通う
ことをお勧めします。
うつ症状体験談一覧
- 気が散って話に集中できない
- やりかけの作業を残して次の作業を始めてしまう
- 考えがまとまらない
- 数字が絡むマルチタスクを管理しようとすると思考能力が著しく低下する
- 心の底から今の仕事は向いてないと思う(興味を持てない)
- 仕事ができない(覚えられない)ので自信が持てない
- 話に集中できない(この人腕毛が薄いな、とか表面的な特徴が気になってしまう)
- 常にネガティブな考えごとをしている
- 生きづらい、働きづらい
- 感覚と現実がずれている感覚がある
- 自問自答が止まらない
- 時間に余裕があっても遅刻ギリギリまで出かけられない
- 明け方に何度も起きる(仕事のことが頭から離れない)
- 睡眠時の動悸
- 睡眠時間を確保できてもよく眠れた感じがしない
- 日中の眠気
- 周りの目が気になる
- めまい
- 口の渇き
- 胸がつかえる感じ
- 漠然とした不安感
- 何もする気が起きない
- 吐き気
- 落ち着きがない
- 貧乏ゆすり、爪を噛む
- 簡単な暗算ができなくなった
- 仕事の優先順位を守ることができない
- 睡眠時に両太ももが熱くなり眠れない(自律神経失調症?)
- 休みの日なのに仕事のことが頭から離れない
- 休みの日に動悸
- 音楽を聴く気になれない
- 胸焼け
- 胸のつかえ
- 職場での動悸
- 声がうまく出せない感じがある(喉の奥でこもっているイメージ)
- 虚無感
- 車の運転中に叫びたくなる。叫ぶ
- 思考力の低下
- ワーキングメモリーが働かない
- 凡ミスが多い(エクセルでのデータ管理が困難)
- 十分な睡眠をとっても日中眠くなる。
- 一度教育を受けている最中に寝てしまったことあり。
- 頭が熱くなる
- 記憶力の低下
- 数年前に勉強した歴史のことが思い出せない
- 音楽や他人の会話を聞き過ぎてしまう
あくまでも私個人のケースです。当時私は精神科医にもかかっていてコンサータを処方してもらっていました。
しかし結局うつを抜けることができたのは薬の力ではなく、最終的にうつとは何なのかをしっかり理解して自分なりのうつとの付き合い方を確立できたことが大きいです。このプロセスに大いに貢献してくれたのが今回紹介した『うつヌケ』という漫画作品でした。
精神科医に定期的にかかることは時間的にも金銭的にもコストがかかります。それに比べればうつヌケは1冊の本ですのでほぼ無料のようなものです。
うつの症状は人によって異なります。うつヌケを読むことで色んなケースを知ることができます。実はもううつを経験していてすでに「うつヌケ」のかた、今まさにうつに悩んでいるかた、まだうつになったことがない方、つまり誰にでもオススメの一冊です。
自分で読むだけでなく、大切な人にプレゼントするというのも良い使い方かもしれません。
『うつヌケ』が気になったかたはぜひとも実際に読んでみることをオススメします。
コメント