今まではバリバリ働いていたのに、出産して育児休暇を取ることになり、1日の大半を幼い我が子と家で過ごすようになってから、なんだかアタマがすっきりしない。というよりもアタマが悪くなったような気がする・・・。
そんな風にそこはかとなく感じてはいませんか?もしくは、今は育児休暇期間を終えて職場に復帰した人も、過去にそんな風に思った経験はなかったでしょうか?
それって、『マルチタスク』をせざるを得ない環境に置かれていたことが原因かもしれません。
私は以前の記事で、アンチマルチタスクともいえるような『シングルタスク・一点集中術』という本の解説を書きました。
ここでシングルタスクのことを詳しく書き始めるとかなり長くなってしまうので、気になる方は下のリンクから記事を読んでみてください。
簡単にいうと、マルチタスク、いわゆる複数の作業を同時に並行してこなすことは、本当は誰にでもできないということを力説している本の紹介です。
育児は究極のマルチタスク?
実は人間は一度に一つのことにしか集中することができません。
しかし、実際は集中する対象を高速で切り替えているだけなのです。切り替える時間には0.1秒もかからないため、集中の対象を何度も素早く切り替えることで、あたかも一度に複数の作業を実施しているように見えているだけです。
これ、脳がめちゃくちゃ疲れます。
マルチタスク(ではなく本当はタスクスイッチング)をやればやるだけ、脳が疲れて注意力が散漫になっていきます。つまり、一つのことに集中し続けることが難しくなります。
一つのことに集中し続けられないので、成果が上がりません。一日中あわただしく働いたけれども、何も片付いていない。ということになってしまいます。
マルチタスクは、全方向に1ミリずつ進むようなものです、どこかにたどり着きたいのであれば、進む方向をしっかりと決めて、その道だけをまっすぐ進む必要があります。
これがマルチタスクとシングルタスクの違いです。
出産後の育児休暇期間は強制的にマルチタスを強いられる状況であるといえます。
生まれたばかりの赤ちゃんは、こちらのことなどお構いなく、泣き、排泄し、眠りたいときに眠ります。
睡眠サイクルがバラバラなので、面倒を見ている大人は、速攻で睡眠不足に陥ります。
睡眠不足は脳の疲れを倍増させます。
あまり眠れていないときにうまく集中できないのは、誰にでもある経験かと思います。
赤ちゃんは少し成長してくると寝返りができるようになり、横方向に移動できるようになります。そこらじゅうのものを口に運ぼうとします。
こうなってくるとさらに大変です。
自分は家にいるから、掃除、洗濯、食事の準備、片づけ、と家事全般をやろうと試みます。
しかし、赤ちゃんからは一秒たりとも目を離すことはできません。
これは完全にマルチタスクを常にし続けている状態です。
やっとの思いで赤ちゃんが寝ても、片付いていないやろうと思っていたことについつい着手してしまい、結局、寝不足からは抜け出すことができません。
強制的なマルチタスクと睡眠不足のミルフィーユ構造により、一つのことに集中する能力はどんどん低下していきます。
これこそが『産後はなんだかアタマが悪くなったように感じる』正体です。
あなたのアタマが悪くなったのではなく『誰だってそんな状況に身を置いたら脳の機能が低下して当然』ということです。
まずはパートナーやご家族に相談しよう
絶対に自分でやらなくてもいいことはやらないようにしましょう。
絶対に自分でやらなくてはいけないことは、赤ちゃんのお世話ですね。自分が赤ちゃんのお世話をしなければ赤ちゃんは生きていけません。
逆に言えば、赤ちゃんをお世話すること以外は、最優先事項ではないといえます。
なにをどのようにやり方を変えるかも大事ですが、まずはパートナーやご家族と話し合ってください。
考えられない話ですが、世の中には、育児休暇で家にいるのだから、家事全般は家にいる人がすべてやって当然。と思っている人がいるようです。
育児休暇は赤ちゃんをしっかり育てるための休暇です。
その場所がたまたま家だというだけであって、家事をするための休暇ではありません。
育児休暇中の相手にたいして、家事も全部やれというのは、正社員で働きつつアフターファイブはがっつりバイトもこなせと言っているようなものです。
私は、強制しているのであれば虐待レベルだと思います。
まずはこの点について、しっかり家族と話し合うことをお勧めします。
テクニックとしてできること
大人のごはんは、全部自分で準備する必要はありません。パートナーと分担する、スーパーの総菜を利用する。冷凍食品を使う。配達サービスを使うなど、自分で作らなくてもよい方法はいくらでもあります。安全に気を配れば外食したっていいんです。
食事を『外注』することのメリットは、おいしいものを食べることが最大の目的ではありません。
準備と片づけをスキップすることです。
これは決して『手を抜いている』のではなく『手間を抜いている』のです。
家電を買い替えることで家事の手間を削減することができます。
個人的に一番お勧めしたいのは、乾燥機能付きドラム型洗濯機です。もしもあなたが、毎回洗濯物を干しているのであれば、丸ごとその時間をカットすることができます。
私は使ったことがないのですが、家事代行サービスを検討するのもよいかもしれません。
このあたりについては、共働き子育て世帯の時短術として別の記事を書いているのでよろしければこちらも参考にしてください。
そして、たまには信頼できる人に子供を任せて、自分だけの自由な時間を作り、外に出かけることをお勧めします。
友達に会うなり、一人で気の向くままカフェで読書したりと、どんな過ごし方が良いかは人によって違うとは思いますが、とにかく自分だけの時間をしっかり確保してください。
悪いのはあなたではありません。
『マルチタスクをせざるを得ない状況』です。
もっとマルチタスクをうまく処理しよう!と考えると、さらに状況は悪化します。
いま、一番大切なことはなにか?自分がやるべきたったひとつのことは何か?
これだけをしっかりと考えて、シングルタスクに集中できる環境を整えてください。
まずは、この記事をあなたのパートナーやご家族に読んでもらうことから始めてみてはいかがでしょうか。
シングルタスクについてはこちらの本がオススメです!
『シングルタスク・一点集中』を読んだ人はこちらもよく読んでいます。
漫画版もあります。
コメント